沖縄県が民間資金を活用して施設建設を計画する大型MICE事業が入札不調となった。県は今後、再度入札公告を検討するとしているものの、事業者が参入できる条件整備が早期に実現するかは不透明で、計画の大幅な見直しも迫られる。
県はMICE振興によるビジネスツーリズムを沖縄観光の新機軸に位置づけ、与那原町と西原町にまたがるエリアへの立地を目指している。周辺受け入れ環境の確実性を担保するため、ホテル整備も必須とした。
ただ周りに観光資源のない地域でのホテル稼働率への懸念や、ホテルが充実する那覇市との距離感などからホテル事業の採算性に疑問を抱く関係者も多かった。
参加が有力視されていた大林組も今回、県が参入の要件としたホテル事業などを理由に参加を見送った。MICE施設の稼働や来場者数が見通せないことが背景にあるとみられる。
国内の他地域で成功している展示会や見本市誘致のめどが立てば、集客数の試算も可能だ。しかし県は個別の運営会社への誘致活動は入札後に事業者に委ねるとしている。
事業を早期に進めるため、県には新たな入札公告に向けた条件や時期の検証と並行して、自ら展示会運営会社へのセールスやプロモーションを積極的に行うなど、事業者が参入しやすい環境づくりを進めることも求められる。 (與那覇智早)