触手を揺らしてぴょんぴょん泳ぐ
二枚貝と言われたら、どんな貝を想像しますか?アサリ、シジミ、ハマグリ…みんな干潟の砂や泥の中にもぐっていて、潮干狩りで干潟を掘ったら採れる生き物です。確かに、二枚貝にはそんなところに住む種類がたくさんあるし、じっとしてあまり動かないイメージですね。でも、中には活発に動く二枚貝がいるんです。
海草が生える砂地の浅瀬に手頃な岩があったら、そっと持ち上げて裏側をのぞいてみましょう。もし、そこにイソギンチャクのようなオレンジ色の触手が見えたら…そしてそれがぴょんぴょん移動したら、ユキミノガイの仲間です。でも、手で触ったり捕まえたりはしないでね。この美しい触手、イソギンチャクのような毒は持っていないのですが、触ると切れてしまうんです。おそらく、切れた触手に敵が気を取られている間に逃げるつもりなのでしょう。
逃げる時は、貝殻を開いて水を吸い、パクッと閉じる時に勢いよく水を吐き出して、ぴょんぴょん跳ねるように移動します。その様子は、長く伸びた触手が優雅になびき、まるでダンスしているみたい!
触手は、貝の体と貝殻の間にある、外套膜(がいとうまく)という膜から伸びています。こんなにきれいな触手を身に付けながら、普段は岩の下にそっと隠れて暮らしています。本当は、恥ずかしがり屋なのかな。
Vol. 30 ユキミノガイの仲間
Limaria sp.
● 目:ミノガイ目 Limoida
● 科:ミノガイ科 Limidae
● 属:ユキミノガイ属 Limaria
動画撮影:
ユキミノガイの仲間 2020年8月2日(浦添市 カーミージー)
動画撮影・編集&執筆
鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)
琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。
鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)
東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。
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