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新たに「日米合同委員会」を追記 自由社公民 「自衛戦争は禁止していない」は政府の解釈、修正なし 中学校教科書検定


新たに「日米合同委員会」を追記 自由社公民 「自衛戦争は禁止していない」は政府の解釈、修正なし 中学校教科書検定 自由社の公民教科書に記載される憲法9条に関する記述
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 文部科学省は22日、2025年度から中学生が使用する教科書の検定結果を公表した。自由社は公民の教科書で、日米地位協定の運用を協議する日米合同委員会についての記述を新たに盛り込んだ。「自衛戦争は禁止していない」という部分は前回検定に続き今回も掲載されている。

 佐藤栄作元首相のノーベル平和賞受賞理由について、核不拡散条約(NPT)への署名ではなく「沖縄の本土復帰の実現」とし、正確性に欠ける記述もみられた。

 自由社公民は、新しい歴史教科書をつくる会が執筆している。同社が中学生の歴史・公民の教科書で日米合同委員会について項目を立てて記述するのは初めて。追記理由について同社は「最近、書籍でよく目にするようになった。日本の重要なことを日米合同委員会という秘密会議で決まってしまっているということを中学生に説明する必要があると考えた」と本紙取材に答えた。

 検定前は「第9条によって軍隊も交戦権も持たないことになったわが国は、自分自身の力で国土を防衛することができない」と記し、「アメリカに対して軍事的隷属状態に置かれている」「外交政治経済面における従属にもつながる。9条問題の解決が望まれる」と9条改正への期待に言及した。

 いずれも検定で修正されたが、前回検定時にも記載されている9条解釈について、「自衛戦争は禁止していない」とし、これを「政府の解釈」と記した箇所は今回も残った。

 「自衛戦争は禁止していない」ことを「政府の解釈」とした記述について文部科学省は、鈴木善幸首相在任時の1980年12月に政府が閣議決定した憲法9条の解釈に関する質問主意書への答弁書を根拠に「教科書の記述は整合性が取れている」と回答した。答弁書では、「自衛のための必要最小限度の武力の行使」が容認されていることなどが明記されているが、「自衛戦争」との記述はなかった。

 今回の検定は、現行の中学校学習指導要領に基づく2回目の検定。

 日本の安全保障政策に触れたのは、特設ページ「わが国の安全保障の課題」の一部。「自分自身の力で国土を防衛することができない」という記述は、国の安全保障政策について誤解するおそれがある表現と検定意見が付き、「我が国自身は専守防衛に徹する」などと修正された。また「9条問題の解決が望まれる」などと記した箇所は、日米安全保障体制について誤解するおそれがあるとして「わが国の安全保障問題はアメリカと強く結びついている」などと修正された。(嘉数陽、安里洋輔)