学校相談員12人の内定「白紙」に 沖縄県教委、国の補助金確保できず


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 いじめや不登校など児童生徒が抱える問題に、福祉の視点から課題解決を図るスクールソーシャルワーカー12人について、県教育委員会が今春の内定を取り消していたことが27日、分かった。

 スクールソーシャルワーカーは県予算と国の補助金で雇用し、県教委が県内6教育事務所に配置して小中学校を訪問する。県教委は本年度、従来のスクールソーシャルワーカー(20人)に加え、新たに12人増やすため国の補助金を増額して要求していた。しかし全額確保できず、12人の採用を見送った。

 スクールソーシャルワーカーは社会福祉士や精神保健福祉士などの資格保持者を対象に、県教委が会計年度任用職員として2009年から採用している。

 県教委は24年度、児童生徒へのきめ細やかな支援を目指して、従来の20人より12人増の32人の配置を計画した。

 国のスクールソーシャルワーカー活用事業は、県が3分の2を負担し国が3分の1補助する。県は約1億3718万円の予算を組み、国に約6858万円の補助を求めた。国からの内示額は、例年とほぼ同額の約3385万円で、増員できず採用は20人とした。県教委義務教育課によると、スクールソーシャルワーカー内定取り消しは今回が初めてだという。

 県教委は新年度の配置に合わせて、24年2月に内定通知を出していた。「国の予算決定を受けて配置となる」と知らせていたが、国の内示を受けて3月末、12人に採用見送りを伝えた。内定取り消しとなった人からは県教委に「新年度からどうしたらよいのか」などの声が寄せられたという。

 同課の担当者は「貧困問題など、子どもが置かれている環境が深刻なため国に増額を要望していた。県教委でできることはないか調整している」とした。

 文部科学省の担当者は「予算の範囲内で補助している。必要であれば自治体負担で配置していただいて問題はない」と述べた。

(高橋夏帆)