5本腕で星形のヒトデは、生き物としては結構変わった形です。触ると固いけど、そもそもどうやって動くと思いますか?
ちょっといたずらして、ひっくり返してみましょう。すると、腕の裏側に一筋の溝があって、体の中心でつながっています。そして、溝の中からたくさんの動くものが、にょきにょきと出てくる!これが「管足」という、ヒトデの足。管足の先は吸盤になっていて、周りの岩にくっつけたりはがしたりしながら、体を移動させます。体がひっくり返ると、管足をわらわらと伸ばして、くっつく場所を探します。
固そうと思っていた腕ですが、あれれ、ずいぶんしなやかに曲がりますね。実は、ヒトデはヨガの達人並みの体のやわらかさ!その秘密は、体の構造にあります。ヒトデの体の表面には、小さな骨がタイルのように並んでいます。タイルとタイルをつなげる糊の部分は、「キャッチ結合組織」という特別なもの。この糊が、固さを自由に変えられるんです。そのため、岩のすき間に隠れて引っ張り出されないようにするときは、糊をカチッと固めます。そんなヒトデを触るとカチカチです。でも、うっかり波でひっくり返されたら、腕を曲げて起き上がるために、糊を柔らかくします。タイル状の骨なら、腕が折りたたまれてもねじれても大丈夫。ヒトデって、実はかなり便利な体なんですよ。
でも、あんまり浅いところでひっくり返し実験はしないでね。ヒトデは水の外に出るのが嫌いです。起き上がろうとして腕が水の外に出そうになると、水面ぎりぎりで体をねじって、とても難しい形になっちゃうので!
Vol. 11 アズキイボヒトデ
Nardoa sp. aff. variolata
● 目:アカヒトデ目 Valvatida
● 科:ホウキボシ科 Ophidiasteridae
● 属:イボヒトデ属 Nardoa
動画撮影:アズキイボヒトデ 2019年1月20日 場所:真栄田岬(恩納村)
動画撮影・編集&執筆
鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)
琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。
鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)
東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。
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