結成13年。ネイルに薬膳、得意分野にも挑戦する華やかコンビ＜スズカーサーキットさん＞◇沖縄芸人ナビFILE.45

2010年、高校生のころにコンビデビューした、さーきーさん・すーずーさん。先輩芸人たちに勧められてコンビを組んだそうですが、お互いを認め合いながら高みを目指し、個人的なことにはあまり深入りしないのが長く活動を続ける秘けつかもしれません。出会いから現在、そして未来までナビゲーターの「初恋クロマニヨン・松田正（まつだ・しょう）」さんが2人の思いを引き出しました。さーきーさんの息子エイジくんも同席し、ほっこりムードの中でインタビューがスタートです。

　（執筆：フリーライター・饒波貴子）

スズカーサーキット（オリジン・コーポレーション所属／ http://origin-oze.com）・すーずーさん（左）とさーきー（中央）さん。ナビ芸人の松田正さん（よしもとエンタテインメント沖縄所属／http://yoshimoto-entertainment-okinawa.jp/）とのやり取りを優しく楽しく、笑顔で応じていました。

事務所で出会い、女子高生コンビとしてデビュー

松田ナビ：長くお笑いをやっているイメージの2人です。年齢はまだ若いですが、事務所（オリジン・コーポレーション）に入ってどのくらいですか？

さーきー：事務所に入ったころはピン芸人として活動していましたが、2010年10月にコンビデビューしました。コンビとしては13年で、デビュー当時は高2か高3でした。

すーずー：16～17歳のころでしたね。

松田ナビ：そうだよな～。それくらいやっていないと説明がつかん（笑）。元々友達でしたか？

さーきー：違います。オリジンで会ったんです。

すーずー：それぞれ1人で入って、事務所にまとめられました（笑）。2人の方が楽だしやりやすいと、みんなに勧められました。

さーきー：コンビ組んでみたら！？と言われたんですよ。オリジンに女性コンビがいなかったころです。先輩の女性コンビ「ルーキー」さんがいましたが私たちが入った時はピンになっていて、女性コンビは売り出しやすい状況もあったかもしれません。

松田ナビ：すーずーが事務所に入った理由は！？

すーずー：タレント志望でした。役者とお笑い部門もありましたが、お笑いはめちゃくちゃ難しいですし、演技はできないから役者でもない。なのでタレントになろうかな～という気持ちで入ったら、「お笑いだろう」と言われ、「じゃ～やります！」という流れで決めました。お笑いは詳しくなくネタも見たことがなかったのですが、「来週ネタ書いてきて」と言われ・・・そんな感じで芸人活動がスタートしました。お笑いは絶対イヤなはずだったんですけどね（笑）。

松田ナビ：お笑い志望じゃないのに、おじさんや兄ちゃんたちの前でネタを披露する。最初は抵抗あったでしょう？

すーずー：めちゃくちゃありました。元々目立つタイプではない私なのに、何を思ったのか芸能事務所に入り、声が小さいなどダメ出しされて。いろいろ大変でした。

松田ナビ：ムカついたこともあっただろうな（笑）。さーきーも1人で入りましたか？

さーきー：同じ年の従姉妹と2人で、事務所を見学したんですよ。お笑いがやりたくて一緒に本土に出てよしもとの養成所に行こうなど話していたんですけど、沖縄にオリジンという事務所があると分かり一回行ってみようってことになりました。稽古を見たら「ちゃんひび」さんが全裸になっていて、こんな事務所には入れないと従姉妹は言い、面白いな～と思った私は入所しました（笑）。

松田ナビ：お笑いをやる男たちにとっては普通のノリ（笑）。ごちゃごちゃ言われることもあるだろうし、女性は大変だと思います。

さーきー：当時は事務所の代表はスルーしていましたが、「わに先生」にだけはあいさつしました。先輩芸人さんだと知らず、事務所で一番偉い人だと思ったんですよ（笑）。それくらい事務所について知らなかったのですが、芸人になってラジオをやりたい気持ちは強かったです。

松田ナビ：ラジオ出演の夢はかなった！エフエム沖縄の「Radio dub（ラジダブ）」のレギュラーが決まった時はうれしかった？

さーきー：ひとつ目の夢がかないました。しゃべることが好きで、学生時代からまーちゃんさんの「ラジダブ」を聞いていたのでうれしかったです。オーディションの時「ラジダブ」とは知らされていなかったので、受かってびっくりしました。ラッキーだったと思います。

松田ナビ：「水曜日のダウンタウン」のような展開（笑）。担当してどのくらいになりますか？

さーきー：もうすぐ4年です。言葉使いがきれいなタイプではないので、生放送の難しさを感じます。

松田ナビ：でも「オリジンアワー」など、2人で前からラジオ番組をやっていたでしょ！？感覚が違う？

さーきー：「オリジンアワー」はすーずーとの普段のおしゃべりなので、下ネタが多くて（笑）。「ラジダブ」は子どもたちが聞いている番組ですから・・・。

松田ナビ：何を意識しているのか、ぜひ聞かせてくれ！

さーきー：いじる要素を探していますね（笑）！？改めて言うのは恥ずかしいですが、きれいな言葉使いを意識しています。そして未成年の方が聴いているので、お酒の席で話すような話題は出さないようにと何となく意識しています。

松田ナビ：お笑いの時は男っぽい感じでツッコんだりしているけれど、「ラジダブ」ではどんなキャラ！？

さーきー：パーソナリティーの中で一番年上なので常識を持つように心掛け、「そっちに行ったらダメだよ～」と注意しています。周りがどう思っているのかは分かりませんけどね（笑）。　

松田ナビ：変なところで盛り上がったらパートナーを修正するなど、少しお姉さん的な面があるんですね。タレントさん志望のすーずーは、表に立ちたい人でしたか？

すーずー：中学生あるあるだと思いますが、テレビを見て「絶対すーずーがやった方が面白い」と思うじゃないですか。そんな気持ちでテレビ出たくて入所しました。これだという強みがないままヌルって入った感じです。

松田ナビ：芸人になりたい人は、「俺たちのネタの方が面白いのに」とか「ラジオで俺たちは面白くしゃべれる」といった心境だと思うけど、すーずーの場合は！？

すーずー：タレント志望でしたが食リポをやりたい訳でもなく、ただCMに出たい気持ちで入ったんです。

松田ナビ：CM出演したでしょう？

すーずー：しました。めっちゃうれしくて、さーきーと一緒に出られて楽しかったです。

さーきー：国保のCMです。

すーずー：今は「オキナワノコワイハナシ」にめっちゃ出たいんです。幽霊役でいいので（笑）。

松田ナビ：さーきーはどう？人前に出るタイプ！？

さーきー：全然違います。ラジオで面白いことを言うのが、芸人になりたかったきっかけですから。

師匠は先輩芸人！？プライベートは干渉しない2人

松田ナビ：芸人さんになりたてのころ、どんなネタをしていたか覚えていますか？

すーずー：思い出したくないな（笑）。

さーきー：思い出したくないですね（笑）。でもちっちゃい野村監督を追いかけるネタで、すーずーが中部農林の制服着て麦わら帽子をかぶっていたことを覚えています。学校で披露したことも・・・。

松田ナビ：めっちゃ面白いやし（笑）！

すーずー：学校ではなくて、披露したのは農林高校が集まるFFO大会。大きなホールの舞台で演じて大ウケしました。

松田ナビ：FFOって何をする大会？

すーずー：技能を競う大会ですが、なぜかネタ披露する時間をもらいました。FFOソングを歌ったりダンスをする時間があって、その合い間に私はネタをやったんです。

松田ナビ：それは珍しい。FFO大会でネタをやる人なんて、今後現れないでしょうね。

さーきー：FFO大会って、そもそも知られていませんよ（笑）。

すーずー：さーきーは、音楽の先生のコントやいじめられっこのネタをしていました。

松田ナビ：最初のころはお互いどんな印象でしたか？

さーきー：すーずーは、求人誌でオリジンの情報を見つけたそうです。

すーずー：教室やレッスンの受講生募集ページに載っていたんです。

さーきー：それを見て来るなんて「勇気がある子」と思いました。でもお母さんと一緒に事務所に来て、1人では中に入れず入り口で待っていたよね。

すーずー：早く着きすぎて、みんながいる空間に行くのは気まずくて外をウロウロしていました。さーきーの第一印象は口調がとても怖い人。「やーよ（お前よ）」としゃべる人は身近にいなかったですし、周りにいないタイプだと思いました。

松田ナビ：お互い、今までの人生にはいないタイプだったんだ。さーきーはすーずーのことを、「おバカだ」など言っているけれど実際はどんな感じ？

さーきー：最近ラジオでしゃべった時に衝撃だったのが、豊臣秀吉を知らなかったこと。コイツどうしようと思いました（笑）。20代は「おバカだ～」で笑えましたが、30代に突入して扱いが分からなくなってきた（笑）。

松田ナビ：確かにラジオでしゃべっている時、「豊臣秀吉知らん」と言われたら「今それじゃないわけよ！」ってなるな（笑）。

さーきー：オチの前で止まるんですよ。でもそれも面白いので、私がもっとツッコミ上手にならないとってことですかね。

松田ナビ：すーずーは昔から、「天然だね」と言われていた？

すーずー：言われていたような気はします。でも全然自覚はありません。

さーきー：人ごとだな（笑）。

松田ナビ：2人は仲が良いイメージですが、13年コンビを続けてケンカしたことはありますか？

さーきー：ネタで詰まって雰囲気が悪くなることなどはありますが、態度がムカつくな～というのはないです。相方にムカつくとかあります！？

松田ナビ：そればっかり（笑）。カバン置く時、もうちょっとゆっくりできんば～！？とか。

さーきー：そんなささいな事を！カバンの置き方なんて、普通気にならないじゃないですか。

松田ナビ：普通はね。でも長年一緒いたら気になる。遠くから歩いてくる時、鍵の音がジャラジャラうるさいなとか。

すーずー：そのくらいいいじゃないですか（笑）。

さーきー：私はないです。お互いのプライベートをあまり知らないから、成り立っているかもしれないです。

松田ナビ：知らないんだ！それは意外。

さーきー：私はプライベートの話をするんですけど、すーずーは全然しないんです。だからいい距離感なのかなと思います。

松田ナビ：たしかにすーずー、つかみどころのない人のイメージ。

さーきー：一番仲良しな芸人は、わに先生ですからね。一方的にわに先生が、すーずーをごはんに連れて行く仲なんですよ。

すーずー：他の人の誘いは断ることがありますが、わに先生とは行きます。気を使わないし、わに先生は自分を見る目はないと思いますが、人を見る目はあるんじゃないですか。

松田ナビ：知らなかった（笑）。すーずー、かわいがられているんだね。

すーずー：アドバイスとかもためになるっていうか。

さーきー：人生の先輩だしね。

松田ナビ：師匠だ！

すーずー：師匠。

さーきー：誰を師匠にしてるば～（笑）！？師匠変えれ！

目標は優勝！賞レースで勝ち上がり、息の長いコンビに

松田ナビ：13年お笑いを続けてきて、あっという間でしたか？

さーきー：賞レースで受賞したことがないので、芸歴を言うの恥ずかしくなってきました。

松田ナビ：すーずーはタレントさんみたいなこともやっているし、楽しい？

すーずー：楽しいです。だから13年経っちゃった感じで。さーきーとだから楽しい、というのもあります。

さーきー：普通に恥ずかしくないですか（笑）？

（右）さーきーさんが息子のエイジくん（1歳）を抱いて記念写真。すーずーのことが大好きだというエイジくんは、ママたちの取材をじゃませず見守っていました。ちびっこタレントとして活躍する日が近いかも！？

松田ナビ：恥ずかしい（笑）。でもインタビューはそういう物です（笑）。コンビ仲を保つために気を付けていることはありますか？　僕は干渉しないように気を付けている。例えば自分が家でネタを書いていて、「相方はあの店で飲んでいた、遊んでいた」ともし聞いたら腹が立つ。なので相方の情報はシャットダウンしたい気持ちがあるんです。

さーきー：プライベートな話を聞かないことかもしれません。家も知らないし、旦那さんを見たこともないです。私の旦那をすーずーが見たことはあリますけど。

すーずー：自分の話をするのは得意じゃないので、さーきーには話さないという訳ではありません。旦那さんに会ったことがあるのは、プライベートの親友と先輩芸人のKジャージさんくらいです。

松田ナビ：すーずーの旦那さんに会ったことがないのは意外！ Kジャージさんとは仲がいいんだね。

すーずー：どう思われているか分かりませんが、私は仲良しだと思っています。

松田ナビ：Kジャージさんは本当に面白い芸人さん。それにしても仲良しなのはわに先生とKジャージさん、というすーずーの交友関係はどうなってる（笑）！？

さーきー：バグり過ぎだろ（笑）。

すーずー：年齢が近い人は苦手ですし、人嫌いなんだと事務所に入って気付きました。さーきーと2人じゃないと大変なことになります。

さーきー：私がいないと誰ともしゃべらない。

すーずー：なのでこのインタビューも1人じゃなくて良かった（笑）。

さーきー：しょうさんとすーずー、2人の対談は興味あるけどね。しょうさんも人見知りなので、ライブなどで気を使ってしゃべっているんだろうなと思える瞬間があります。

松田ナビ：前にオリジンのライブに出してもらった時、1人で準備していたらさーきーが声を掛けてきた。確かにその時、すーずーもセットだった！姉妹のような関係に見える。結婚してどれくらい経つの？お笑い的な価値観は結婚して変わった？

すーずー：6年です。何か変わったと思う？

さーきー：年々服装が派手になっていると思います。

松田ナビ：派手になっていると僕も思うし、13年続けていたら環境の変化もあるしいろいろ変わるでしょう。さーきーもSNSで漫画を描いたりいろんなことをやっている。

さーきー：出産して子どもとの思い出を忘れないようにしようと思って描き始めたんですけど、「あるある」みたいなことをテーマにしました。出身地の北谷町のことと沖縄市を描いたら、DMでリクエストをいただくなど反響があって、もう全然あるあるを理解しないままで描いています（笑）。「全然違うよや！」って怒られないか心配になってきました。

松田ナビ：薬膳関連もやっていなかった？

さーきー：和漢薬膳師！めっちゃ怪しいのやっています。その人の体調に合わせて料理をする薬膳があって、その日本食版。薬膳は中国や台湾の文化ですが日本人の口に合わない食材もあるので、日本人に合うように考えるのが和漢薬膳師です。薬膳マイスターという免許も持っていますが、まだ1番下の位。上を目指すには東京で1カ月研修しないといけないなど、厳しいです。

松田ナビ：和漢薬膳師になったら何ができるの？

さーきー：例えばその人の顔色などを見て、どういう食材を食べた方がいいかアドバイスします。でも始めたきっかけはろくなものじゃなく、お酒が好きなのでせめて体にいいつまみを食べようと思ったから。大酒食らいで毎日飲んでいるんです。自分のためにやり始めたので、そんなに勉強もしてないですね。

松田ナビ：無理せず始めたのなら入り口としてはいいと思う。すーずーはいつも楽しいイメージだけど、何をしている時が楽しいですか？