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「HY」が熱く語った1時間 芯の強いリーダー、裏番、筋肉担当…?「誰1人欠けても駄目」 ドラマ化で新たな野望も【独占インタビュー&動画】#2


「HY」が熱く語った1時間 芯の強いリーダー、裏番、筋肉担当…?「誰1人欠けても駄目」 ドラマ化で新たな野望も【独占インタビュー&動画】#2 結成24年を迎えたHY=2024年2月5日、沖縄市の県総合運動公園
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

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沖縄出身の人気バンド「HY」。結成24年を迎えてなお第一線を走り続ける。メンバーの新里英之、仲宗根泉、名嘉俊、許田信介への単独インタビュー後半は、10代で出会ってから40代に突入した今、互いへの深い“愛”や名曲「366日」のドラマ化への思いを語ってもらった。

(聞き手=大城周子・田中芳、写真=喜瀬守昭)

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▲インタビュー動画全編が再生されます

―― 今年は新年に能登半島で大きな震災がありました。そんな年だからこそ音楽フェスを開催する意義や心持ちを聞かせてもらえますか。

新里 震災は本当に悲しい出来事なんですけど、お悔やみというか、そういう気持ちは心の中にちゃんと留めて。でもやっぱり笑顔には悲しいことを忘れさせる力がある。止めてしまったら前に進めないっていうふうになりそうな感じがする。悲しい出来事があったとしても、音楽のパワーで一つでも何か忘れさせたり、リセットしたり、笑顔になってもらえるようにっていう思いで動いていきたいですね。

――いーずーさんは被災地に向けたインスタライブもやっていました。正直、切り替えは難しいとおっしゃっていた。

仲宗根 そうですね。やっぱりいろんな思いがあって…。3.11を経験した人も、あれから時間を経てスカイフェスに来ましたっていう方もいると思うんですよ。だから、MCとかでそういうところに触れられたら。歌詞がリンクしてたりとか、HYが自分たちのことを忘れないでいてくれたっていうことがエネルギーにはなるのかなって思うので。HYっぽい温かさを、MCなのか曲なのか、選曲1曲でも何かできればいいなと思ってますね。

フェスや音楽への思いを熱く語る新里英之

――1回目の開催は2011年で東日本大震災の後でした。

名嘉  毎年その日が近づいてくるとラジオとかを通して発信はしている。昨年もコロナが少しずつ(緩和されて)「大丈夫か?」っていう時にやったんですけど、やっぱり足を止めてしまうと全部が止まってしまう。沖縄から愛を届けられる部分を探しながら、 自分たちにできる一番近いものは寄付なので、そこら辺も忘れずに形にしていけたらいいなと思います。

――10代でデビューして、20代、30代と重ね、ついに40代に入った。メンバーの関係性に変化はありますか。

仲宗根 遊び友だちでバンドを組んだという感じだったので、昔は例えば買い物先も一緒で洋服も同じものを買って。県外に行ってもみんなでご飯を食べて、本当にずっと一緒で。ライブ前はみんなでハブ酒を飲んでからやるみたいな、そんなロックな感じのバンドだったんですけど、今はもちろんそこまでできませんし、それぞれ大人になってくると行きたい場所や食べたいものもどんどん変わってきます。

昔だったら土日はみんなで集まってバーベキューとかもよくやってたんですけど、そういうのはもうしなくなりました。その代わり、見えない絆みたいなものはどんどん太く濃くなってきている。4人だけがわかる感覚というか、他の人は気づかなくても「あ、今日ちょっと変かも」とか「この感じのときはこれは言わない方がいいな」「今ちょっと怒ってんのかな」とか、4人だけがわかる雰囲気がある。

どんなに長いスタッフでも、4人が何かやっている時に入れない瞬間があると言われる。会わなくても喋らなくても、常に4人のことを思ってるっていうのはあって。これだけは変わらないのは、やっぱり尊敬し合ってる部分ですかね。これが一番かなと思う。

3人が曲を書いて1人はただ筋肉のことだけをやってると、他のバンドだったら「お前もやれよ」ってたぶん結構な感じで言われてると思うんですよ。でも、信介には信介なりの役割があって。

許田 名前出した(笑)

10代で出会ってから共に走り続けてきたHYメンバー=2020年1月23日、北谷町

仲宗根 曲は書いたり書かなかったり、いつも筋肉のことだけやって。それなのに誰よりも風邪ひくっていうところにはイラつくんですけど、信介の一言で場がまろやかになったり、信介のコメントじゃないとこうならなかったよなっていうのもすごく知っている。私は結構信介にきつく当たりますけど、ちょっとディスることでイケメンだけじゃなくて面白いところもあるんだよっていうのを出すのが私の役割かなって感じてて。

そしてひーでーは、すごく優しいんだけど芯がある。昔は「リーダーって言われるほど俺は立派じゃない」みたいなことをよく言っていたんですが、 本当にこの人がリーダーだったから全員がついてこれたんだなって思う。決定するときの強さ、芯がすごくある 。それだけだと、いかにもひーでーだけがすごく立派に感じるんですけど、“裏番”ではないですけど俊は頭の回転が早くて、MCなら俊です。詳しく説明したり、心情を表す言葉の使い方だったり、歌詞への落とし込み方もそう。それは俊にしかできないこと。 本当に誰1人欠けても、このグループの感じにはならないんですよ。

許田 2、3日休みがあってそれが明けるとその2、3日にあった出来事をすごい4人でしゃべるんですよ。そういうのは変わらない。たまにスーパーとかでばったり会うとすごいうれしいらしい。

笑顔でメンバーへの思いを語る許田信介

―― 先日は「366日」をモチーフにしたドラマ化の発表がありました。発売から16年の時を経てドラマ化される感想は。

名嘉 うれしかったです。失恋ソングには毎年ランクインしてて、いーずーも言ってたんですけど、みんなが歌い続けてきたからこそフォーカスが当たってドラマになったのかなって。ありそうでなかった366日の世界をドラマで出していくのがすごく楽しみです。

仲宗根 16年間愛してもらって、今でも歌っても色あせることがないのは、やっぱりみんながずっと歌い続けてくれたからだと思う。なんかやっと娘にも目に見てわかる、自慢できることができたなっていうのはありますね。娘は今11歳でHYが全盛期のときを知らないので、沖縄だけで頑張ってる人たちみたいな感覚があるんですよね。 だけど、月9で366日が流れるんだよって 言ったら「めっちゃすごいじゃん」って。

でも、私たちは今もアーティストとして活動しているので、これからの曲もそういうふうにみんなに愛されてほしいっていうのがある。(ドラマ化は)うれしいけど、自分たちにとっては足掛かりぐらいの感じで思わないと。次から誰も聞いてくれなかったねっていうのは一番寂しいことなので、 ここに乗っかってさらに飛躍できれば最高かなとは思いますね。

丁寧に言葉を選びながら思いを語る名嘉俊

――スカイフェスは「子どもたちに夢を」との思いでスタートしました。ご自身の子ども時代はどうでしたか。

新里 映画の「スタンド・バイ・ミー」があるじゃないですか。僕はあのまんまです。タバコを吸うシーンだけ省いて。冒険するのが好きで、友だちと海に行って石投げて。中学に上がってギターと出合った。心の中を表現するのが苦手だったんですけど、歌にするとその心をメロディーに乗っけることができる。その楽しみを知って、仲間に出会って、居場所ができて、居心地が良くて。音楽で夢をかなえようっていうよりも、この仲間とずっといたいなっていう思いで頑張りました。 

仲宗根 お父さんがすごく音楽が好きで、お母さんも教会でゴスペルとかやったりするような家で、ずっと音楽に触れてきた。すごく厳しい父だったんですよ。 音楽に対しては子どもでも真剣にやれという人だった。小3の時に初めて鍵盤キーボードを渡されて「耳コピしろ」と。そのうち、お父さんがギター弾いて、弟がベースやって、お母さんが歌って、俊がドラムパッドを打つっていう構成に。俊はいとこで家も隣だったので。

最初は面白くなくて。できなかったらめちゃくちゃ怒られるので。小5で槇原敬之さんを知って、「歌にすれば告白しなくてもあなたのことが好きだという感情を伝えられるんだ」って、喜びというかすごい衝撃だったんですよね。それでバラードっていうものにはまって。そして同じ頃にホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」を聞いて、声も楽器になるんだと知った。私よりも歌がうまいいとこ(歌手の平川美香)をメインに立たせていたんだけど、私も歌ってみたいって思い始めて。でもその気持ちはずっと隠して我慢していた。高校で(現HYの)彼らと出会った。 小学生からピアノ一本でバラードばかりしてるから、もう退屈なわけですよ。そんなときに彼らと出会って、第2の衝撃だった。絶対にここに入りたい!って。最初はサポートで入れてもらって、そして一緒に曲を作り始めるようになってという感じでしたね。

メンバーと出会った頃を振り返る仲宗根泉

――今の子どもたちに伝えたいことはありますか。

名嘉 好きなことを見つけてほしい。今は情報過多な世界なんですけど、いろいろと転がってると思うんですよね。親もいろんな選択肢を見せていかないといけないと思う。自分を表現することは恥ずかしいし、勇気がいるとは思うんですけど、(スカイフェスで取り組んでいる)子どもカフェとか、子ども記者として勇気を出してインタビューしている子たちを見ると、僕たちも刺激になっている。 どんどん表現していってほしいし、表現できる場をできるだけ用意してあげたいなと思います。

仲宗根 今って私たちの小さい頃よりも幅がすごく広がってると思うんですよ。好きだったらとことんやってみてもいいのかなって思う。だけどやるなら、もうこれ以上はできないって達観したところまでやって、そう思えたら次にいってというふうに、どんどん挑戦してもいいのかなって。そばに夢は落ちてるんだよ、っていうのは教えてあげたいなって思いますね。


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