28日に辞任の意向を表明した安倍晋三首相は米軍普天間飛行場の移設問題を巡り普天間への固定化か県内移設の二者択一を迫りながら、名護市辺野古移設に向けた工事を進めた。菅義偉官房長官を基地負担軽減担当相に任命し、沖縄政策を進める上で官邸主導を鮮明にした。基地問題に対する県政の姿勢によって沖縄関係予算を増減させる「アメとムチ」の手法を取った。県内の選挙にも積極的に介入してきたが、2度の知事選や県民投票では新基地建設反対の民意が示されている。翁長前県政誕生以降、国と県の対立は激しさを増している。
<安倍政権と沖縄2>基地とリンク、予算減でも「国直轄」増えた狙いは
安倍政権は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた作業を加速させた。歴代最長の政権下で、県民は2度の知事選をはじめ主要選挙や2019年2月の県民投票では、辺野古新基地建設に反対の民意を示している。だが安倍政権は辺野古移設が「唯一の解決策」として強硬姿勢を変えていない。9件の法廷闘争など県との対立を深めながら14年8月にボーリング調査を始め、18年12月、辺野古沿岸部への土砂投入に至った。
反発する沖縄側に対し、普天間飛行場の「固定化」をちらつかせながら県内移設の受け入れを迫ってきた。13年には県外移設を掲げていた自民党の県選出国会議員や県連の公約を撤回させた。当時の仲井真弘多知事に普天間飛行場の「5年以内の運用停止」を約束したが実現せず期限を迎えている。
一方で仲井真元知事から得た公有水面埋め立て承認を根拠に辺野古工事を続けてきた。
翁長前県政以降、移設を強行する姿勢を鮮明化させ、現在の玉城県政とも激しく対立する。菅義偉官房長官に沖縄基地負担軽減担当相を兼務させ、官邸主導で辺野古新基地建設を進める体制をつくった。
北部訓練場の部分返還やキャンプ瑞慶覧・西普天間住宅地区の返還を進めた。安倍政権は成果と強調するが、北部訓練場についてはヘリやオスプレイの離着陸帯を新たに建設しており、地元の負担軽減につながらないとの批判も強い。