【一問一答】ハンスト抗議へ「辺野古土砂に遺骨含む土、戦没者への冒涜だ」 ガマフヤー具志堅氏


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 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん(67)が、政府の辺野古新基地建設に伴う沖縄本島南部からの土砂採取計画に反対し、3月1日~6日まで那覇市の県庁前で有志とリレー形式でハンガーストライキをする。22日、糸満市米須の魂魄の塔の前で記者団に明らかにした。沖縄本島南部は沖縄戦で激戦地となった場所で、糸満市や八重瀬町は沖縄戦跡国定公園に指定されている。戦後、大規模な遺骨収集が何度か行われたが、戦没者遺骨がまだ眠る場所でもある。糸満市米須の土砂採取予定地でも戦没者遺骨が見つかっている。39年間にわたり、遺骨収集に取り組んできた具志堅さんに思いを聞いた。(聞き手・中村万里子、嘉数陽)

遺骨混入は止められぬ

Q.ハンガーストライキの目的と経緯は。

A.沖縄防衛局の本島南部からの土砂採取を断念させたい。糸満市米須の鉱山の採掘権者は1月、県に自然公園法に基づき開発を届け出た。同法33条2項で風景保護を根拠に、知事の権限で中止の措置を命じることができる。知事にこの措置も求めたい。米須の土砂採取が止まらなければ、南部地域で他の業者も続く懸念がある。

Q.土砂に遺骨が混入する恐れがあるのか。

A.年月の経過とともに遺骨は崩れていく。人間の骨は210個の骨でできている。指の骨や子どもの骨は小さく、どうしても見逃してしまう。遺骨が混じった、戦没者の血がしみこんだ土を新基地建設の埋め立てに使うのは戦没者への冒涜(ぼうとく)だ。人道上問題がある。

Q.防衛局の認識をどう受け止めているか。

A.防衛局の担当者に「南部の土に戦没者遺骨がある認識はあるのか」と聞いても答えない。「人道上問題だ」と言っても反論しない。防衛局でさえ、遺骨を含む土砂をなぜ使う必要があるかを説明しきれない。道徳観が欠如している。

慰霊とは真逆、全国遺族の問題

Q.業者が糸満市に提出した森林伐採届の開発区域内には、沖縄戦で住民が避難していたシーガーアブの一部も含まれる。

「戦没者の血が染み込んだ土を、新基地建設の埋め立てに使うことは人道上の問題だ」と訴えた沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん=22日、糸満市米須の魂魄の塔前

A.米須字誌によると、シーガーアブは、7家族が米軍に燃やされたとの記録ある。北西側の壕の奥では日本兵の遺骨もあった。後世を担う若い人たちが沖縄戦を学習する慰霊の場所であるべきだ。

Q.訴えたいことは。

A.この問題は、全国の沖縄戦犠牲者の遺族の問題でもある。そのことを日本に向けて発信したい。日本政府は毎年8月15日に全国戦没者追悼式をするが、南部の土砂採取は慰霊とは全く真逆の行為だ。多くの人にこの問題を知ってほしい。

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