知事就任後、県子ども生活福祉部内に「女性力・平和推進課」を設置した玉城デニー知事が29日までに、琉球新報のインタビューに応じ、ジェンダーに関する施策やジェンダーバイアス(性に基づく差別や偏見)などについて語った。玉城知事は「『男性優位の社会の仕組み』は、沖縄でも社会や家庭でも見受けられる」との認識を示した。その上で昨今、議論が沸き起こる選択的夫婦別姓制度の賛否については「基本的人権という観点からも、自由に選択できるという状況があってしかるべきだ」と賛意を示した。
2019年末時点の県議会の女性割合は10・9%だった。市議会では11・5%、町議会はさらに少ない8・2%となっている。県は女性管理職割合を20年度までに15%にする目標を設定していたが、実績は14・7%でほぼ達成した。この5年間で6・6ポイント増えた。
玉城知事は「男女が対等に意思決定に関わることはあらゆる場面において非常に重要だ」と述べ、県庁内の女性管理職の登用などを推進し、目に見える形で状況を変えていくことが重要だとした。
一方、玉城知事は課名に「女性力」と女性の力を引き出すことを主眼としたような名称を付けた理由について「平和で誰一人取り残さない、多様性や寛容性を大切にした社会の実現には、女性の視点を政策に反映させることが私のポリシーだ。県が一生懸命取り組むという遡及(そきゅう)的効果なども合わせて、『女性力』と掲げさせてもらった」と説明した。
玉城知事は「男女が自らの意思によって、多様な生き方を選択することを妨げている場合がある」と述べ、ジェンダーバイアスが「生きづらさ」を生んでいる側面があるとした。
男性ならば「たくましさ」、女性ならば「優しい言葉遣い」や「物静かな対応」などといったジェンダーバイアスに基づく行動が求められているとした。
自身もかつては「男らしい男になりたい」と考えていたと明かした。「自分の中に、それぞれにジェンダーバイアスがあるということに気が付いて、自分の持っている価値観を見直していくことが解消に向けた行動につながる」と述べ、それぞれがこれまでの自己の言動を省みる必要性を説いた。 (梅田正覚、座波幸代)
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