沖縄県で沖縄島に次ぐ面積の西表島(竹富町)は、大部分が亜熱帯の原生林に覆われている。海、山、川の大自然の中で、イリオモテヤマネコなど独自の進化を遂げた動植物たちが静かに命を紡いでいる。
3日、西表島で長年自然観察ガイドを担う森本孝房さん(64)の案内で島を回った。「(自然遺産)推薦地以外でも多くの希少種が暮らしている」。森本さんの言葉通り、わずか数時間の小旅行でも、多くの生き物に出合えた。
県道から10分ほど歩いた林の中では、国の天然記念物のヤエヤマセマルハコガメが木陰の穴で、ひっそりと休んでいた。マングローブ林近くの海岸では、無数の小さなカニたちが必死に餌を探していた。移動中の車内からは希少種の鳥が悠々と空を飛ぶ姿も見えた。西表島などに暮らすカンムリワシは八重山のシンボルでもある。
「山に降った雨が森をつくり、森の栄養が川から海に流れることで、豊かな自然をつくってきた」(森本さん)。西表では、山と海が一体となり生き物たちを育んでいる。
(琉球新報・西銘研志郎)
▼地域挙げ希少種守る GPS使い外来種の情報収集 沖縄北部3村の取り組み
▼協力金創設し保全に活用 93年遺産登録・屋久島の教訓 環境保護で続く模索