傲慢(ごうまん)な人物にしては、あっさりと終わった印象だった。新型コロナウイルス対応が十分ではなく、有事のリーダーではなかった。
新基地問題で菅義偉氏は「普天間飛行場は世界一危険で、解決には辺野古移設が唯一の方法」と受け売りを繰り返してきたが、その根拠はなかった。危険性は基地自体よりも軍用機にあり、飛行ルートを変えても危険性除去にならず、普天間返還の根拠もない。新基地建設を「粛々と進める」とした菅氏を、翁長雄志前知事は「(「沖縄の自治は神話」と発言した)キャラウェイ高等弁務官のようだ」と評した。翁長氏と菅氏の確執も根本にある。
どう喝型の政治は、安倍晋三政権から続く特徴だ。沖縄にも振興予算、振興計画などでそうした対応をしてきた。菅氏の退任は一連の「安倍・菅」政権の終わりとして見るべきだ。強権的な手法も結果が出ず、国民は見限った。
沖縄がいくら助けを求め、民意を示しても無視するのが政権の対応だった。(次期政権からは)沖縄への対応も変わると思うが、(他の自民党総裁候補も)政治力が見られない。米国に対して物が言えない状況で、根本的な基地問題解決には至らない。
沖縄の民意に聞く耳を持たない政権から、聞く耳を持つ政権へ変わってほしい。菅氏の退任で、パンドラの箱が開く格好になる。(安倍氏からの)長期政権が残した問題の検証が必要だ。
(安全保障論)
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