辞意表明…菅義偉氏語録「辺野古が唯一」「沖縄の歴史はわからない」


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初めての会談にのぞむ菅義偉官房長官(手前左)と翁長雄志知事=2015年4月5日、那覇市

 菅義偉首相が辞任する意向を固め、自民党総裁選(9月17日告示、29日投開票)にも立候補しない意向を3日、表明した。昨年9月に首相に就任する以前にも、安倍内閣で沖縄基地負担軽減担当を官房長官と兼務し、名護市辺野古の新基地建設や米軍北部訓練場の返還などの沖縄施策を推し進めてきた。首相就任後も「辺野古移設が唯一の解決策」の姿勢は崩さなかった。これまでの語録をまとめた。

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◆官房長官時代「法治国家だ」「USJ支援」

「日本は法治国家だ。沖縄の皆さんの普天間の危険除去への強い訴えや(米軍の)抑止力といった中で、(辺野古へ移設することは)18年前に決定している」=2014年08月26日、記者会見で

「辺野古移設が唯一の解決策であることは一貫としている。昨年末、仲井真弘多知事が埋め立てを許可したので、手続きに基づいて粛々と進める」=2014年11月17日、翁長雄志知事の初当選を受け

「沖縄振興を考えたときに、極めてインパクトのあることだ。政府としては、できる限りの支援をしたい」=2015年03月18日(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン=USJ=の運営会社トップが県内進出の方針を明らかにしたことについて)

「世界一危険な普天間飛行場の全面返還に向けて、辺野古への移設を進める。人口が密集する嘉手納より南の米軍基地について、できるだけ早く返還されるよう働き掛けている。このほか地位協定に環境補足協定を追加し、3千億円台の振興予算も維持する。政府として約束したことはやる。できることは全てやるという思いだ」
「先輩の皆さんは大変な努力をされた。しかし私どもは負担軽減を目に見える形で進め、住民にも丁寧に説明することで理解を得ていきたい」=2015年4月2日、本紙インタビューに

 

 菅氏は「首里城の復元に向けて責任を持って取り組む」と語った。=2019年12月21日、那覇市の首里城公園

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火災で焼失した首里城を視察後、守礼門前で会見を開く菅義偉官房長官(当時)=2019年12月21日、那覇市の首里城公園 – Spherical Image – RICOH THETA

米軍那覇港湾施設を視察する菅義偉官房長官=2019年12月22日、那覇市の陸上自衛隊那覇駐屯地

◆「粛々」やめます

「(普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた作業を)『粛々と進めていく』と言葉は『上から目線』ということだった。そういうふうに感じられるのであれば表現は変えていくべきだろう」=2015年4月6日、官房長官記者会見で

「戦後生まれなので、沖縄の歴史はなかなか分からない。日米合意の『辺野古が唯一』というのが私の全てです」=2015年9月、翁長雄志知事(当時)に

(辺野古への移設計画と在沖米海兵隊のグアム移転について)「結果的にリンクしている」。「(沖縄の日本)復帰後最大と言われる北部訓練場4千ヘクタールは沖縄の全基地の2割、これも返還できたことは事実だ」(翁長雄志前知事の県民葬に出席した際にやじが飛んだことについて問われ)=2018年10月11日、記者会見で

「基地問題対応と振興策を総合的に推進する。その意味で両者はリンクしている」=2020年9月11日、記者会見で

自民県議らから要請文を受け取る菅義偉首相(中央右)=2020年9月17日午前、国会内

◆首相就任後…「台湾海峡」「名護東道路

「普天間飛行場の危険性を一日も早く除去するため、辺野古移設の工事を着実に進める」「引き続き、沖縄の皆さんの心に寄り添う」=2020年10月26日、所信表明演説で

(名護市辺野古の新基地建設に伴う土砂の採取場所を沖縄戦の戦没者遺骨が埋没するとされる本島南部に広げた件に触れ)「採石業者において遺骨に配慮した上で土砂の採取が行われる」=2021年1月22日、参院本会議で答弁

「米軍による飛行訓練は日米安保条約の目的達成のため重要なものだ。地元の皆さま方に与える影響が最小限にとどまるよう防衛省、外務省にしっかり対応させたい」=2021年2月17日、沖縄県内各地で相次いでいる低空飛行について衆院予算委で答弁

(日米首脳会談で「台湾海峡の平和と安定の重要性」で一致)「同盟強化の具体的な方途について、両国間で検討を加速する」=2021年4月16日(現地時間)、会談後の会見で

琉球新報などのインタビューに答える菅義偉首相=2021年5月21日、首相官邸

◆辺野古の環境に留意

「普天間飛行場については、辺野古移設というのが唯一の解決策だと思っている。ただ、地元の皆さんへの説明、また環境、こうしたことに、しっかりと留意しながら進めていく必要がある」
「沖縄でも(新型コロナウイルス感染者数が)伸び始めてきた時に、それ(まん延防止等重点措置)よりも最初から(飲食店の酒類提供停止を)ぜひやってほしいと、国でお願いしたが、沖縄の事情でそれができていなかった。そこは事実だ思う」=2021年05月21日、沖縄2紙のインタビューで

「沖縄が(コロナ禍の)困難を乗り越え、昨年完成した那覇空港第二滑走路や、7月末に全面開通することとなった名護東道路なども活用し、21世紀の「万国津梁」として世界の架け橋となるよう、私が先頭に立って、沖縄の振興を進めていく」=2021年6月23日、沖縄全戦没者追悼式に寄せられたビデオメッセージ

(米中対立で台湾有事が発生した場合)沖縄を「守らなければならない」=2021年8月、米ニュースウイーク誌に


 

▼首相、沖縄2紙と会見「辺野古は環境に配慮」

▼菅首相インタビュー詳報 緊急事態を前に語ったこと(2021年5月21日) 

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