菅義偉首相は3日、辞任する意向を固めた。自民党臨時役員会で総裁選(9月17日告示、29日投開票)に立候補しない意向を表明した。新型コロナウイルスに関する政府の対応が不十分との批判が続き、次期衆院選を前に求心力低下の責任を取る格好だ。菅政権は就任から約1年での幕引きとなる。
後任総裁 選出急ぐ
首相は2日午後、党本部で二階俊博幹事長と会談した。総裁選には岸田文雄前政調会長や高市早苗前総務相が出馬の意向を表明している。自民党は後任の新総裁選出を急ぐ。
首相は、官房長官として約7年半支えた安倍晋三前首相が持病悪化で辞任表明した後の自民党総裁選で勝利し、昨年9月16日、第99代首相に就任した。安倍政権の経済、外交政策を継承。新型コロナ対策を最優先課題とし、行政の縦割り、既得権益、あしき前例主義を打ち破る「国民のために働く内閣」を掲げた。
今年2月、首相の長男が勤務する会社の総務省幹部接待問題を週刊文春が報道。3月には高額接待疑惑の山田真貴子内閣広報官が辞職した。
新型コロナ感染が拡大するたびに、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を発令して対処したものの、「後手」との批判を浴びて内閣支持率下落を招いた。東京五輪・パラリンピック大会中も感染が広がり、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)した。
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