出漁控えや遊泳制限…軽石漂着、沖縄11市町村に深刻な被害 本紙調査


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
海面を覆う軽石により、日光を遮断された水深約1・5㍍のところに生息するサンゴ=26日、国頭村の辺土名漁港

 大量の軽石が沖縄県内に漂着・漂流している問題で、本島北部を中心に11市町村で出漁できないなど深刻な被害があることが27日までに本紙調べで分かった。県は早ければ30日から、特に大量の軽石が滞留する国頭村の辺土名漁港と安田漁港での回収に着手する方向で調整する。読谷村や宜野湾市など、中部でも出漁を控える動きがあり、漁業への被害は広範囲に及んでいる。伊江村や本部町では遊泳が制限されるなど、観光にも影響が出ている。

【水中写真と動画】軽石の層、海面下ぎっしり

 県は29日にも回収作業のための契約を業者と交わす見通し。回収に要する費用や日程などについては「めどは立てられない」との認識を示した。保管場所は市町村と調整して決める。農業用の土壌改良材や、建築用の資材に活用することも視野に入れて、成分の化学分析を進める。国土交通省や環境省の補助事業を財源に、回収作業を進める予定。  ただ、市町村から「観光や海浜利用に支障を来す」といった要望が上がっていることなどを踏まえて、県の単費の支出も想定する。

 環境部担当者は「現在流れ込んできているものは大量だと認識している。まだ沖合にもあると思うので、何カ月で回収できるか、今の時点ではめどは立てられない」と述べた。玉城デニー知事は27日、第1回軽石問題緊急対策会議を開き、関係部局に「スピード感を持って、現下の対策に取り組んでほしい」と指示した。

【関連記事】

▼【水中写真と動画】軽石の層、海面下ぎっしり

▼【潜水ルポ】地層のよう…暗い海中、まるで洞窟

▼死んだ魚の胃に詰まった大量の軽石…漁業関係者「災害だ」

▼【写真特集】沖縄の青い海が灰色に…川や道路にも

▼軽石の除去方法は?行政がすべきことは? 専門家に聞いた

▼漁港の軽石回収、月内にも着手