【宮古島】沖縄県の宮古島漁業協同組合が宮古島市内の漁港で養殖するクルマエビ約140万匹が、急性ウイルス血症(PAV)の感染でほぼ死滅していたことが1日までに分かった。同漁協によると養殖開始から28年で初の出荷ゼロとなり、損害は約1億円になるとみられる。感染経路は不明で来期の養殖再開も不透明な状況に陥っている。市内の他の養殖業者での感染は確認されていない。
漁協から報告を受けた県は2日、県水産海洋技術センターの職員を派遣する。現地調査を実施した上で漁協や市と対策協議会を開く。
県や宮古島漁協によるとPAVは甲殻類に感染するウイルスで人にはうつらない。エビは共食いする習性があり、感染したエビを食べて感染が拡大する。
漁協は1993年からクルマエビ養殖を始めた。久米島から仕入れた稚エビを3つの養殖池(約1万4千平方メートル)で飼育する。病気の有無などは毎月、県水産海洋技術センターにサンプルを提出して管理して確認してきた。
宮古島漁協の養殖池では2016年の検査で初めてPAV感染を確認した。以降は毎年、感染したエビが出ていたが、出荷時期(11月下旬)に重なっていたため感染個体を取り除いて出荷できていた。だが感染による出荷量の減少が響き、16年以来、養殖事業は赤字が続いていた。
今年は出荷を控えた10月の検査で感染が確認され、爆発的に広がった。16年の初確認以来、県も調査を続けているが感染経路は分かっていない。
漁協では毎年、池の水を抜き底砂をかき混ぜて天日にさらし、塩素剤による洗浄も徹底した。栗山弘嗣組合長は「飼育密度が高いなどストレスがあると感染しやすいという話もあるので、今年は池1つを休ませて、エビの数も減らした」とため息をつく。
ウイルスの外部侵入も懸念し、養殖池周辺で捕獲した甲殻類を検査したが陰性だった。「試せることは全部やった。後は底砂を全部入れ替えるぐらいしかないが膨大な費用が掛かる上に、それで感染がなくなるか分からない」と語った。 (佐野真慈、写真も)
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