名護市辺野古の新基地建設を巡り、埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決を違法として、県が取り消しを求めた15日の控訴審判決は、県の敗訴となった。新基地建設に反対してきた県民からは、県に原告適格がないと断じた判決への疑問や「諦めてはいけない」との声が上がった。
県に上告求める声も
名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前では15日も、市民が座り込んで、国が強行する新基地建設に抗議した。控訴棄却について、那覇市の親盛節子さん(69)は「政府と司法が一体になった沖縄いじめだ。裁判官は政府に忖度(そんたく)せず、自分の頭で考えてほしい」と憤った。「知事は上告し意見を貫いてほしい」と要望した。
新基地建設に反対する辺野古区の金城武政さん(65)は「国と対等である地方自治の権利が奪われ、残念でたまらない。おかしな裁判が行われていることを全国民に知ってほしい」と語った。
米軍普天間飛行場の周辺住民らで構成する普天間爆音訴訟団の前団長、島田善次さん(81)は「沖縄の道理が通らない状況だ。沖縄には民主主義がないのか」と憤った。一審判決で、県に原告としての適格がないとの司法判断に疑問を呈しつつ「訴えが通らなくても、何度も闘うことが大切だ。諦めてはいけない」と強調した。
(岩切美穂、石井恵里菜)
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