米軍PFAS指針値の1740倍に 3者が調査結果 消火用水施設を撤去へ うるま


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
有機フッ素化合物を含む消火用水が流れたとみられる貯水タンク=6月11日夜、うるま市昆布

 うるま市の米陸軍貯油施設金武湾第3タンクファームから、有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)を含む消火用水が流出した事故を巡り、国、県、米軍の調査結果が米軍の同意を得られず非公表となっていた問題で、国と県は28日、3者の調査結果を公表した。1リットル当たりのPFAS含有量は県の調査で8万3千ナノグラム、国の調査で8万7千ナノグラム、米軍の調査で7万5千ナノグラムだった。いずれも、環境省が定める水質の暫定指針値50ナノグラムを大幅に超過していた。国の調査結果だと指針値の1740倍となる。

 国によると、2020年から消火施設全体のシステムが稼働しておらず、米軍は消火用水が入っていた貯水施設を撤去する意向だ。

 事故は6月10日に発覚。県は同28日、日米地位協定の環境補足協定に基づき、施設内に立ち入って貯水槽から採水した。サンプルは国、県、米軍の3者で分け、それぞれで分析した。県は分析を外部機関に委託し、7月30日に結果の報告を受けたが、米軍の同意が得られず公表しなかった。12月に県の調査結果が報道で明らかになった後も、正式に公表されていなかった。

 3者の調査結果にばらつきがあるが、国は「分析を委託した第三者機関とは別の分析機関に話を聞いたところでは、2割の差はよくあるという話だった」と説明した。

 PFASの問題に詳しい原田浩二京大准教授(環境衛生学)は「いずれの調査結果もかなり高濃度だ。地下水を通じて周辺が汚染されている可能性がある。天願川だけでなく、周辺の井戸や土壌なども調査する必要がある」と指摘した。

  (稲福政俊)


【関連記事】

▼【ニュースの言葉】有害物質PFASとは? 以前はフライパンにも…

▼【写真】うるま流出、発生当時の速報(21年6月)

【動画】住宅地、川に大量の泡…普天間飛行場から流出(20年4月)

▼金武町では水道水からPFAS なぜ公表遅れた?

▼脅かされる「水の安全」、基地汚染源の調査できず<SDGsで考える 沖縄のモンダイ>

▼【深掘り】政府「敗北だ」沖縄県「尻ぬぐい」…米軍汚水を日本処理