離島医療に痛手 メッシュ搬送休止 手術後の帰島、病院間移動…医療機関「影響大きい」


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墜落した小型飛行機が衝突したとみられるフェンスを調査する運輸安全委員会の航空事故調査官ら=13日午後4時20分ごろ、伊江村

 NPO法人メッシュ・サポートは、小型飛行機とヘリコプターの2機を所有し、主に病院間の患者の移動や退院後の患者の搬送などには小型飛行機を、急患などにはヘリを活用していた。へき地や離島医療の一翼を担うメッシュの運休は、北部や離島住民から「影響が大きい」との声が上がっている。 

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 NPO法人メッシュ・サポートが所有していた小型飛行機は本島北部や県内離島、鹿児島県沖永良島、与論島などで、専門治療を必要とする患者の搬送を担ってきた。手術後に島に戻って治療を継続する患者の搬送も行っており、医療機関側は「日頃からさまざまなケースに対応してくれただけに、事故による運休の影響は大きい」と語る。

 鹿児島県与論島唯一の総合病院である与論徳洲会病院では2021年度3月現在、計14回の施設間搬送が行われた。メッシュの活動実績によると、同病院からは急性心筋梗塞や胆管炎、大腿(だいたい)骨頭部壊死(えし)の患者を本島内の医療機関に搬送しただけでなく、島に戻って治療を継続するために搬送した実績もある。

 治療中の患者が島に戻る際は県のドクターヘリ事業は使えず、点滴が外せなかったり、ベッドから起き上がれなかったりする場合は民間機を利用できないこともある。同病院の担当者は、飛行機により与論―沖縄間を約35分で移動できる利点も含めて「日頃から調整していただき、患者の負担が少ない方法で対応してくれた」と感謝する。

 小型飛行機による搬送は、移動費などの経済的負担の大きい離島在住者の治療を支える一助となっていたが、しばらく運休となる。メッシュの塚本裕樹理事長は「手術を行うために本島内の病院に搬送した患者が、民間航空機で戻れないケースもある。慢性期病院で受け入れてもらえるようにしていただきたい」と語った。

 (嘉陽拓也)


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