沖縄県は11日、10歳未満から90代の577人が新たに新型コロナウイルスに感染したと発表した。感染拡大に伴い沖縄本島で病床需要が高まっていることから、県は同日、本島地域の医療フェーズを最も高い5に引き上げ、各病院にコロナ用病床の増床を求めた。
また、那覇市の入院待機ステーションを同日夜から再稼働させることも決め、医療提供体制の拡充を急ぐ。
医療フェーズが5に引き上げられたことに伴い、本島ではコロナ用として512床の確保が求められる。フェーズ4における371床に比べて141床増える。
ただ、同時点で実際に確保できているのは318床で、フェーズ4の水準も満たしていない。
コロナに感染したり濃厚接触者になったりして休業する医療従事者が344人(重点医療機関のみ)おり、入院患者のケアに必要な人材が確保しづらくなっているのが一因とみられる。
実際に確保された病床数を母数にした使用率は83・9%に達する。感染拡大が続く中、病床確保が計画通り進むかは困難も予想される。
県の宮里義久感染症対策統括監は、人工呼吸が必要な重症患者は限定的だとしたが、病床使用率の増加によりコロナ以外の救急搬送でも事前相談が求められるなど一般医療に影響が出るとし「これ以上酷くならないよう対応する」と語った。
また、1月5日から3月9日の間に発生したクラスター(感染者集団)8件、計78人の感染が公表された。内訳は保育施設が7件、学校が1件。
米軍関係は新たに20人の感染が報告されたが、基地別は不明とした。
入院待機ステーションの再稼働に伴い、同施設で実施していた中和抗体薬の投与は10日午後から中止した。(知念征尚)
【関連記事】