11月15日の任期満了によって予定される那覇市長選に向け、現職の城間幹子那覇市長(71)が出馬しない意向を固めたことにより、城間氏を支える「オール沖縄」勢力と、対抗する自民党の双方に波紋を広げている。城間氏の3期目を目指していたオール沖縄にとっては想定外で、後継候補の人選を急ぐ必要に迫られた。自民側は過去の選挙で圧勝してきた城間氏の引退を「追い風」と捉え、「面白い選挙になる」と息巻く。
市政与党幹部は2日に城間氏に呼ばれ面会する予定だったが、内容は伝えられていなかった。城間氏側近は「出馬するなら説明はもっと先でもいい。次は出ないから、早めに意向を伝える判断をした」と解説した。
以前から城間氏は近い人に出馬しない意向を示唆していたという。関係者の1人は、教育長や副市長、市長2期を務めた城間氏について「もう疲れている。『自分のために時間を使いたい』と言っていた」と明かした。
後継候補の選考はこれからだが、市政与党などには以前から知念覚副市長(58)に期待する声があった。翁長雄治県議(34)の名前も挙がっており、与党関係者の1人は知事選への影響を踏まえ「彼しかいない」と話す。ただ両氏とも「出馬の打診はない」とし、現時点では立候補に関して明言していない。
各陣営は市長選と知事選をセットに、県都の支持拡大に取り組む戦術をとってきた。オール沖縄関係者は「みんなが納得してまとまる形で候補者が決まるかどうかに懸かっている。ばらばらになったら市長選も知事選も厳しい」と語った。
一方、知念氏については自民党関係者も「候補者の1人だ」と断言する。知念氏は自民県議から那覇市長に転じた故翁長雄志氏の下で総務部長などの要職を務め、翁長氏の薫陶を受けた1人だ。自民関係者は「翁長氏と共に『オール沖縄』に行ったが、知念氏はもともと保守の人だ」と語り、オール沖縄の切り崩しも狙う。自民内ではこれまで新垣淑豊県議(46)、西銘啓史郎県議(64)らの名前も挙がっている。2日に会議を開き、選考を加速させる。
市長選を巡っては、市民活動関係者から出馬要請を受けた、NPO法人代表の糸数未希氏(49)も立候補する方向で検討している。関係者は「城間氏が出馬しない可能性も想定していた」と冷静に受け止めながらも、オール沖縄との連携は「現時点で白紙だ」とした。 (知念征尚、大嶺雅俊、伊佐尚記)
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