宮古島の医療「非常事態」 コロナ急拡大 県立病院が一般外来休止 4度目の診療制限


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 宮古島市内で新型コロナウイルス感染が急拡大しており、医療逼迫(ひっぱく)の危機が再び迫っている。県立宮古病院(岸本信三院長)は9日、一般外来の休止を発表した。市内の民間急性期病院も同日、新規患者の受け入れと救急外来を休止した。いずれも23日までの2週間を予定し、状況を見て再開の判断をする。岸本院長は「非常事態」との認識を示し、市民に理解と協力を求めた。

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 宮古病院がコロナの影響で診療を一部制限するのは4度目。10日から一般外来は原則、電話診療となる。がんや急性期疾患を除いた手術、検査も延期する。救急外来は通常通り対応するが、発熱・風邪症状は掛かり付け医への相談や自宅療養を呼び掛ける。内視鏡、血管造影などの各種検査も延期する。

 民間急性期病院は通院患者の処方や透析、リハビリ、健診センター、訪問看護・介護は継続する。担当者は取材に「コロナ対応のため新たな入院や患者の受け入れは厳しい」とした。

 宮古島では4月中旬から陽性者が増え始め、5月3日には過去最多の152人が確認された。県や市によると、9日までの直近1週間で720人超の陽性者が確認されている。10万人当たりの新規感染者は1222・88人と全国最多の県内(733・41人)の1・5倍を超えており、最悪の状況に陥っている。

 感染拡大を受けて県は9日から宮古圏域の医療フェーズを3Aから4に引き上げ、専用病床を22床から55床に増やした。宮古病院ではうち40床を担っており9日昼時点で入院は5人。重症者はいない。

 9日、同病院で会見した岸本院長は「専用病床を増やすと看護師や医師も確保する必要がある」と説明。同日時点でコロナ関連を含めて看護師24人が休職しており国や県に応援派遣を要請している。「人やベッドを確保するためにも診療を制限せざる得ない。非常事態を乗り越えるために改めて感染防止策の徹底にご協力願いたい」と市民に呼び掛けた。

(佐野真慈)


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