女性が制限されていた杣山の入会権を見直し 「世帯主」から「家族代表」に  沖縄・金武区


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 【金武】戦前から利用されてきた杣山(そまやま)を管理する金武町金武区の金武入会権者会が、区内に住むすべての女性子孫に会員資格を認めるよう規則を改正したことが13日までに分かった。男性子孫に限っていた会員資格は、これを無効とした2006年の最高裁判決後に改正。それ以降、資格が「世帯主」に限られたことから、配偶者の出身地などにより女性が制限される状況が続いていた。

 金武入会権者会の仲間通夫会長は「時代とともに社会環境が変化していることを踏まえ、理事会、役員会で議論し、慣習を見直す結論に至った」と話した。3月の理事会で、「世帯主」の定義は「その家族の意向で決定した代表者」だと全会一致で改正し、4月に施行した。

 杣山はかつて住民らが木々を利用し、総有と呼ばれる形態で所有した山。金武町の杣山は戦後キャンプ・ハンセンとなり米軍に提供されたため、各区にある権利者会が地代を受け取り、会員に配分する。

 金武区では夫が区外出身であるため入会を認められなかった女性らが会員資格を求めて提訴した経緯がある。2006年に最高裁は会員資格を男性子孫に限っていた規則を無効とする一方、世帯主に限ることは認めた。男性子孫の文言は改廃されたが、世帯主は慣習などにより男性であることが多く、また一部制限が残ったため女性らは不利であると訴えてきた。

 同会は「先祖から受け継いだ財産を守るため、改革は時に必要であり、会員相互の発展に寄与すると確信する」とした。 (増田健太)


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