他国からの武力攻撃事態など有事に備え、自治体が住民の避難誘導をする国民保護計画に基づき、石垣市と宮古島市が全市民の避難に必要な航空機の数や期間などを見積もっていたことが19日までに分かった。
宮古島は観光客分を含む避難に必要な航空機の総数を381機と試算。石垣は1日45機運航した場合、全市民避難の所要期間を「9・67日」と見込んでいる。石垣の想定に沿って本紙が試算すると、避難に必要な延べ機体数は435機となる。
台湾有事の懸念を踏まえ、先島など離島からの住民避難の必要性について議論が起こっている。沖縄戦前の県外疎開では、米軍に周辺の制海権を握られる中の海上輸送で、児童や一般の疎開者を乗せた対馬丸が撃沈された。国民保護でも、有事が迫る中で避難用航空機の安全が確保されるか懸念がある。
両市は国民保護法に基づく避難計画のひな形となる「避難実施要領のパターン」で試算した。国民保護法に基づく住民避難は国が要避難地域を認定して、都道府県が住民の避難経路などを明示、市町村が避難誘導をする。県によると、県内41市町村のうち読谷村を除く40市町村で国民保護の体制を規定する基本計画を策定済みだが、パターンを策定したのは宮古島、石垣を含め7市町にとどまる。
2019年に策定し、5月に市HPに掲載された石垣のパターンでは、石垣空港の1日の運航可能便数を45機とし、民間機1機に150人が搭乗すると仮定。石垣市民・竹富町民・観光客合計で6万5300人の避難が必要になる。この想定に沿って計算すると、延べ機体数は435機となる。宮古島も同年に策定。石垣と同様に150人搭乗の航空機の場合は住民が363機分、観光客が18機分、500人を運べるフェリーの場合は住民が109隻分、観光客が5隻分を必要とする。
石垣市の担当者は「民間機の確保や自衛隊対応などについて、国や県と細かい調整が必要だ」と強調した。宮古島市の担当者も「輸送力確保は県が行う。県の計画も踏まえ、国や県と意見交換していきたい」としている。 (塚崎昇平)
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