沖縄県の新型コロナウイルス感染症PCR検査強化事業を巡り、本島南部の訪問看護事業所で働く30代女性看護師のPCR検査結果が、陰性だったにもかかわらず「陽性」と誤った通知を受けていたことが27日までに県や関係者への取材で分かった。
誤通知で訪問看護を利用した重度の疾患がある男児が手術延期を余儀なくされるなど、利用者らに負担を強いる結果になり、現場に混乱が生じた。県は事態を重く受け止め、委託した検査業者を厳重注意とし、再発防止を求めている。
県や関係者によると、今年1月11日、南部を中心に医療ケアなどを行う事業所「訪問看護ステーションちゅらぐくる与那原店」の看護師らが定期のPCR検査を受検した。13日早朝には検査業者から受検した全職員が「陰性」だと通知された。しかし翌14日、再度通知が届き、女性看護師のみ陽性となった。検査業者はこの間、県から集計結果の相違を指摘され、集計を数回にわたって訂正。集計を繰り返す中で検査結果にずれが生じ、女性看護師を陽性としてしまった。集計時の人為的ミスだという。
陽性の通知は、女性看護師が最初の陰性通知を基に寝たきりの高齢者や重度の基礎疾患のある利用者宅を回って医療ケアをした後だった。訪問看護事業所は看護師の訪問先への連絡や関係機関への問い合わせに追われた。
女性が陰性であることを示す結果について県は1月17日に、検査業者からメールで受け取った。検査業者は併せて、訪問看護事業所にもメールを送信したとしているが、受信した記録はない。陽性通知から約2週間後、女性看護師が保健所に問い合わせて、初めて誤通知を把握した。
県は5月末、事業所から相談を受けて事態の詳細を把握。事業所に落ち度は見られないとし、検査業者に再発防止策を含む顚末(てんまつ)書の提出を求めた上で厳重注意とした。県は訪問看護利用者らに謝罪する意向を示している。 (高辻浩之)
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