【ちむどんどん第58話】本家の長男と「トートーメー」 朝ドラ「ちむどんどん」キーワード集【ネタバレ注意】


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  ちむどんどん第58話では、恋の四角関係を巡り、暢子(黒島結菜)の動揺がピークに達します。一方そのころ沖縄では良子(川口春奈)の夫・博夫(山田裕貴)が、良子が働くことを認めるよう本家の祖父らに掛け合いますが玉砕しました。博夫はふがいない自分を恥じつつ、「俺だって好きで本家の長男に生まれた訳じゃない」と良子に涙ながらに訴えるのでした。本家の長男のプレッシャーはどれほどのものでしょう。

 沖縄では大抵、本家の長男は大事にされます。それは、先祖崇拝を重んじてきた沖縄には「位牌(トートーメー)の男系相続」の風習が色濃く残り、長男が特にその責を負うためです。旧盆や正月、清明祭(シーミー)など家族や親族が集まる沖縄の伝統行事の中心的役割は、トートーメーのある家庭が主に担うことから、自然と長男嫁へも重圧がかかりました。

 トートーメーの男系相続の風習を巡っては、1980年に沖縄県婦人連合会が異を唱え、沖縄弁護士会も後に続き、社会問題化しました。1977年に沖縄婦人少年室協助員会が実施し、492人の回答があったアンケートでは、トートーメーの跡継ぎについて「長男に限る」が35・2%、「次男、三男でもよい」が34・6%、「血縁の男に限る」は2%、「娘でも良い」が20・3%で、男性重視の傾向が見られます。

 琉球新報が2021年に実施し953人が回答した県民意識調査では、トートーメー継承の考え方を聞いたところ「男女どちらが継いでもいい」との回答が68%に対して、「男性が継いだ方がいい」が12.5%にとどまりました。一方、2022年3月8日の国際女性デーに琉球新報社が実施し、553件の回答があったアンケートでは、位牌の継承者について「長男」が65・3%、「血縁の男性」が15・7%と男性が依然8割を占めていました。

 

>>トートーメーの課題解決に必要なのは?「誰でも継承」69%<本紙アンケート>


>>【まとめ】ちむどんどんキーワード集

▼ちむどんどんってどんな意味?

▼復帰前の沖縄、映画館と遊園地はなかった?

▼意味深な民俗学者の一言「19年の空襲で…」って?

▼「とうしんどーい!」って何? 沖縄県民には結婚式や旧盆でおなじみの曲

▼「まーさん」と言えば…ピンクと黄色のあのマーク?