沖縄電力(浦添市、本永浩之社長)が29日に発表した2022年度4~6月期の連結決算は、経常損失93億4400万円、純損失68億9900万円と過去最大の赤字となった。ウクライナ情勢や円安による燃料費の高騰が経営を直撃した。通期の業績予想も経常損失400億円、純損失308億円と過去最大の赤字を見込む。
沖電単体では、通期で直近8年分の経常利益の累計に匹敵する415億円の損失となる。同社は94年度の連結決算導入後、通期の実績で赤字を計上したことはない。中間、期末ともに株主配当を初めて見送ることを決めた。
電気料金には燃料価格の変動を反映する燃料費調整制度(燃調)があるが、沖縄では22年4月に上限価格に達し、超過分を沖縄電力が負担している。この状況が続いた場合、沖電が負担する影響額は通期で430億円に膨らむと予想した。
主力の火力発電に使う石炭、原油、液化天然ガス(LNG)の価格がいずれも上昇し、円安の加速がさらに燃料費を押し上げ収支を圧迫。本永社長は29日の記者会見で「損失の要因はひとえに燃料価格の高騰ということに尽きる」と強調。今後も燃調の上限超過分の負担が続けば、事業継続や安定供給に必要なコストが確保できなくなると説明した。
今後、同社は工場や商業施設などを主な対象とする高圧以上の自由料金について、22年11月から全ての顧客を対象に燃調の上限廃止の協力を呼び掛け、23年4月以降は上限廃止に踏み切る。本永社長は家庭向けを含む規制料金について「具体的な検討はまだしていない」とした。
(當山幸都)
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