沖縄県大宜味村津波にある平南川の「ター滝」で6日に発生した死亡事故は、降雨によって短時間で滝が濁流に変化し、水位が急上昇して多くの行楽客が取り残された。駐車場を管理する大宜味村観光協会によると、雨で水位が急に上がり、2メートル近くまで達する地点もあるという。協会職員らが天候に気を付けているが、気象状況が急変することもある。行楽客などが天候に注意することや、ライフジャケットの着用などを呼び掛けている。
ター滝は夏場に、沢登りを楽しむ行楽客が県内外から多く訪れる。観光協会が管理する駐車場の事務所で受け付けをしてから、川の中を歩くなどし片道30分ほどで滝つぼにたどり着く。事務所では協会の職員が常時、雨雲レーダーを確認している。
6日は曇りや晴れの予報だった。午後2時50分ごろに雨雲の存在を把握した。確認すると駐車場に約60人が戻っていないことが分かり、男性職員2人が川に急行した。すれ違った人らにすぐに戻るよう呼び掛けながら滝つぼに向かうと、幼児を含む家族連れの姿があったという。
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客を呼び戻している間、滝はわずか10分程度で赤土の混じった濁流に一変した。川の中間地点付近では25人ほどが立ち往生していた。現場付近では川は1.8メートルほど水位が上昇していた。川の流れが落ち着くまで安全な場所で待機し、現場に駆け付けた消防隊員と共に駐車場まで戻った。亡くなった女性は取り残された人たちの中にはいなかった。
観光協会は雨天時は入場を断っているが、晴れの予報でも急変することが多々あるという。同協会は「天気予報をこまめに確認してほしい。増水した場合は無理に戻ろうとせず、山側に上がり安全な場所で待機してほしい。足元を守るマリンシューズの着用も大事だ」と呼び掛けている。8日は駐車場が開放された。同協会は濁流に変化する滝の写真を来場者に見せ、注意事項を口頭で伝えるなどして安全対策に取り組んでいる。 (北部・長嶺晃太朗)
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