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「玉城デニーは中国共産党の勢力」は誤り リンクの新聞記事にも「玉城氏」記載無し<沖縄知事選ファクトチェック>


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 

 9月11日投開票の沖縄県知事選挙で、候補者の玉城デニー氏を名指しして「玉城デニーは中国共産党の勢力とフランスが断定している事はご存じですか?」と記した投稿が短文投稿サイト「ツイッター」で広く拡散されている。このつぶやきは産経新聞の記事を引用しているが、当該記事中に玉城デニー氏の名前は一切出てこず、書き込みは誤りだ。
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 つぶやきは8月28日夜に投稿され、30日午後2時半時点で「いいね」が7525件押され、リツイート(RT)は2909件と拡散されている。投稿では玉城氏への言及の後「沖縄を守る為に何としてもサキマ淳氏に 投票してください。 ご自分とご家族の命を守る為の選挙です。」と知事選候補者の佐喜真淳氏への投票を呼び掛けている。

 産経新聞の記事は2021年10月5日付で、〈仏軍事研究所が「中国の影響力」報告書 沖縄を標的と指摘〉との見出しを掲げている。フランス国防省傘下の研究機関であるフランス軍事学校戦略研究所(IRSEM)による報告書内容を紹介したもので「世界で影響力拡大を狙う中国の戦略について報告書を発表した」と記している。

 産経新聞の記事

 
 

産経新聞記事の「沖縄への関与」の部分

 産経新聞の記事が「沖縄への関与」に言及した箇所では、「沖縄住民には日本政府への複雑な気持ちが残り、米軍基地への反発も強いため、中国にとって利用しやすい環境にあるとした。中国が独立派を招いて学術交流を促したり、中国人が米軍基地近辺で不動産投資を進めたりなどの動きがあると列記した。」と中国側の働き掛けについては記しているが、玉城氏の名前の記載はない。
 

 産経新聞の記事の基になったIRSEMの報告書(2021年10月、英語版)で玉城氏の名前が出てくるのは沖縄に触れた中の1カ所(402ページ)。

 そこでは「沖縄には既に米軍基地に敵対する独立派が存在している。島の大多数は反東京、反中央政府だ。知事に玉城デニー氏(長年、アメリカのプレゼンスに反対してきた人物)が2018年10月に誕生したことからも明らかだ」と記している。

 だがこの前後を読んでも、玉城デニー氏が中国共産党の勢力であることを示す記述は見当たらない。
 

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