選挙の際に有権者に送付され、投票所で本人確認に使われる「投票所入場券」の性別欄を廃止する取り組みが広がりを見せている。心と体の性が一致しないトランスジェンダーの人への配慮が主な理由だ。本紙が8~10月に議員選挙がある29の市町村選挙管理委員会に確認したところ、6市を含む12市町村が性別欄を廃止していると回答した。名護市と恩納村は今回の議員選挙から性別欄をなくした。
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廃止した理由については「誰もが気持ちよく投票できる環境をつくるため」(沖縄市)、「社会の多様性を尊重する流れに対応した」(宜野湾市)などが並んだ。
性別欄が「あり」と回答した市町村のうち、本部町はその理由について「本人認証のためには必要だ」とした。一方、西原町は「今回の町議選には間に合わなかったが、次回の選挙では性別欄をなくしたい」と廃止する意向を示した。
投票所入場券を巡っては今年7月、総務省が全国の自治体に対して、入場券に記載する性別について、性の多様性に配慮して数字や記号などを使った表現を検討するよう通知している。
だが、市町村は公選法に基づき、男女別に投票数などを集計し、国などに報告しなければならない。そのため、選管担当者は投票用紙交付機の男女ボタンを押して、集計している。ただ、トランスジェンダーの人にとっては男女で区別されることは心的負担となる。
自治体によってはボタンを押す手元が有権者から見えないように囲ったり、男女ではなく記号で表記したりするなどの工夫をしている例もある。
(吉田健一、照屋大哲)
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