沖縄経済の回復に期待 全国旅行支援始まる 予約殺到、県「効果672億円」 県独自制度と併用可能


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 新型コロナウイルス禍で打撃を受けた地域経済の再建を目指し、政府の観光需要喚起策「全国旅行支援」が11日、東京都を除く46道府県で始まった。インターネットを通じて旅行商品を販売する事業者(OTA)や旅行社では、早くも予約が殺到している。 

 

 ▼10、11月に沖縄を訪れる国内観光客、コロナ前超えの見通し

 基幹産業の観光業の需要が高まることで、県経済の回復、発展に期待が寄せられている。同日の県議会代表質問では、制度への評価を尋ねた上原章氏(公明)の質問に対して、県文化観光スポーツ部の宮城嗣吉部長が「約300万人泊、672億円の誘発効果を見込んでいる」と答弁した。

 全国旅行支援は、宿泊代などの割引とクーポンの配布で、1人1泊当たり最大1万1千円を国が補助する。事業主体の都道府県が実施期間などを決め、独自財源で支援を手厚くすることも可能だ。

 沖縄県は「おきなわ彩発見NEXT」という名称でキャンペーンを始めた。全国旅行支援に合わせた独自の措置は予定していないが、8月から開始している県内の公共交通機関が最大30%引きになる「のりとくチケットキャンペーン」との併用が可能。県民を対象に、アクティビティなどを割引する「おきなわ体験最大50%オフキャンペーン」は期限を2月末まで延長しており、11日から県外客も利用できるようになった。

 1日当たりの入国者数上限の撤廃やビザ免除措置の再開など、水際対策も大幅に緩和された。全国旅行支援の利用、水際緩和の適用はともに、ワクチンの3回接種か陰性の証明が条件となる。

 ロワジールホテル那覇では11日、昨年同時期に比べ4倍の予約が入った。10月~12月は通常オフシーズンであることから、武田寛枝総支配人は「非常にありがたい」と目を細めた。

 那覇市のホテルアザットでは、OTAの使い方がわからない人などがホテルに直接電話をかけることが多く、スタッフは新規予約の対応に追われているという。OTAにアクセスが集中しサイトがフリーズするなどの事態が起きており、担当者は「一度に対応するのがとても大変だ」と話した。

 制度の周知には課題も残る。千葉県から2泊3日で沖縄観光に訪れたという25歳の女性は「沖縄旅行の計画は1カ月以上前から決めていて、全国旅行支援というキャンペーンがあるのは知らなかった」と話した。

(與那覇智早)


<用語> 全国旅行支援
 新型コロナウイルス感染拡大で客足が落ち込んだ観光業界を支援する事業。都道府県内や隣県、広域ブロックが対象の旅行割引「県民割」を全国に広げる形で実施する。旅行代金は40%引きで、割引額の上限は鉄道や貸し切りバスなど交通費込みパック旅行が8千円、宿泊のみと日帰り旅行は5千円。このほか、買い物や飲食に使えるクーポンを平日は3千円分、休日は千円分配る。

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