天皇皇后両陛下は22日から、一泊二日の日程で沖縄を訪問される。両陛下の沖縄訪問は即位後初めてで、訪問中は「四大行幸啓」の一つとなる全国国民文化祭(美ら島おきなわ文化祭2022)の開会式に出席するほか、玉城デニー知事と面談する予定だ。天皇陛下は、皇太子や、浩宮時代を含めると6度目の訪問で、直近では10年の美ら島沖縄総体に出席された。皇后陛下は1997年の全国農業青年交換大会への出席以来2度目の訪問となる。
皇室と沖縄の関係性を振り返ると、沖縄の命運に、天皇が深く関与してきた経緯がある。昭和天皇に対しては、苛烈な地上戦に巻き込まれ、住民の4人に1人が犠牲となった77年前の沖縄戦の戦争責任を問う声もある。
昭和天皇が沖縄の長期占領を希望したとされる47年の「天皇メッセージ」は、沖縄が戦後27年間の米施政権下に置かれた「源流」とも言われる。
米施政権下で沖縄の発展は遅れ、県外の米軍基地が沖縄に次々と移駐し、基地の拡大も続いた結果、現在でも在日米軍専用施設の7割が沖縄に集中する状況が続く。昭和天皇の「戦後責任」に対しても、複雑な感情を抱く県民もいまだにいるのも事実だ。
沖縄海邦国体が行われた87年当時、昭和天皇が沖縄を訪問することに対し、沖縄世論は割れていた。琉球新報が復帰15年に合わせて実施した世論調査の結果によると、来沖に対して賛成は42%、反対は8%、「どちらでもよい」が42%で、「賛成」と「無関心」で意見は分かれた。
結局、昭和天皇は体調を崩されて、海邦国体には出席できず、戦後、全国の中で沖縄だけは唯一、訪問することはなかった。
一方、平成の天皇(上皇さま)は19年の退位までの間、11回にわたって沖縄を熱心に訪問された。最後の来県となった18年は沖縄の戦没者を慰霊し、最西端の与那国町に足を運んだ。
この年、12月の誕生日に合わせた記者会見で、沖縄の苦難の歴史に触れ「沖縄の人々が耐え続けた犠牲に心を寄せていく私どもの思いは、これからも変わることはない」と述べた。沖縄の感情に寄り添い続けた。
平成の時代を経て、県民の皇室へのイメージは大きく変化した。琉球新報が実施した2021年の県民意識調査で「天皇、皇室への親しみ」を問うたところ、「強く持っている」「どちらかと言えば持っている」とした県民は39.5%で、「まったく持っていない」「あまり持っていない」を合わせた24.6%を大きく上回った。
天皇陛下は、今年5月15日の「復帰50周年式典」にオンラインで出席した際、「お言葉」の中で「沖縄には今なおさまざまな課題が残されている」と述べられた。
県などによると、今回の訪問でも、国民文化祭開会式で「お言葉」を述べられる予定だ。昭和天皇、平成の天皇から今につながる3代にわたる沖縄との関わりを踏まえ、即位後初訪問となる天皇陛下がどのようなお言葉を述べられるのか、注目される。 (池田哲平)
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