自分が職場を抜けたらどうなる?男性社員が育休を取って見えてきたこと~国際男性デーに考える(上)【WEB限定】


この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬
真剣な表情で赤ちゃんにミルクをあげる嘉手苅友也さん

11月19日は国際男性デー。男性の健康や生き方、ジェンダー平等の実現に向けて男性側の課題を考えます。ジェンダーとは社会の中でつくられたり求められたりする「男らしさ」や「女らしさ」のこと。身近なジェンダーの課題として、女性の社会進出と並行して語られるのが男性の育休取得ですが、取得率が上がらないのが社会的に課題となっています。

琉球新報デジタル推進局にも、育休明けほやほやの男性がいます。

WEBマーケティングなどを担当する嘉手苅友也さんは29歳、いわゆるアラサー世代。周囲の同年代の友人たちも出産ラッシュとのことですが、話をしてみると男性で育休を取得しているのは1、2人しかいなかったそう。そんな中でも嘉手苅さんは「男性も育休は絶対に取った方がいい」と強調します。

嘉手苅さんに自身の育休に入るまでの期間や育休中を振り返ってもらいました。
(聞き手・慶田城七瀬)

 

ー仕事の内容やパートナーさん、ご家族について教えてください。

 入社2年目、臨時社員の時期もあり通算3年目です。いまはデジタル関連の企画やマーケティングを担当しています。パートナーは同級生の産業保健師です。大阪出身で、沖縄に移住して4年目になります。今年8月に第1子の長女が生まれました。

 

ー育休期間はどれくらいですか?

 妻の出産後の1カ月を育休、あと1カ月を有休消化という形で2カ月取得しました。初産で心配もあったので、出産予定日の1週間前から在宅勤務にしました。すると在宅勤務の初日の朝方に妻が破水し、慌てて病院に行きました。出産の時は病院のコロナ対策で立ち会うことができなかったのですが、付き添いの看護師さんの計らいで、妻とビデオ通話することができ、画面越しにその瞬間を共にしました。

 

ー育休を取ることはすぐに決断できましたか?

 妊娠が分かった段階では、夫婦ともに育児の大変さをあまり想像できず、意識していませんでしたが、妻は、つわりなど体の変化もあり、暮らしの中でこれまでできていたことができなくなるという不安を感じたようで、妻から育休の話を持ちかけられました。

 県外出身の妻が沖縄で子育てするとなると、僕のサポートが必須になるので、そこで育休を取ろうと決断しました。一方で、日々進化していくデジタル業界の仕事では、自分が育休で抜けた後の職場の負担感を想像すると、申し訳ない気持ちもありました。

育児休暇から職場復帰したばかりで「浦島太郎状態です」と話す嘉手苅さん=11日午後、那覇市の琉球新報社

 

ー育休について、仕事やプライベートで相談できる人はいましたか?

 職場では、上司も先輩もすぐに理解してもらえたので、何でも相談できました。育休を前提にした仕事の割り振りやスケジュール調整ができたので、職場の負担感も最大限軽減しながら育休に入ることができたと思います。

 プライベートでは、両親や子育て中の友人に相談しました。母親は助産師を経験しているため、産後のフォローもしてもらえるのではないかと、心配はしていませんでした。

 

ー育休をとるまでに仕事や家庭で準備したことはありますか?

 仕事では、妻が安定期に入ったタイミングで、すぐに上司に育休を取得したいという意思表示をしました。人事部を中心に、代替人員の手配を早めに着手してもらいました。あとは業務の指示や手順などを含めた引継ぎ書をまとめて共有しました。それを見れば誰でも私が担当していた業務を担うことができるよう、努めて細かく記録しました。

 家庭では、出産やその後の生活までに必要なものをそろえるチェックリスト、育休をスムーズに取得するための予定日の確認、健診時には予定日が遅れたり早まったりしていないかを確認していました。

 

ー育休が取れるのか?という不安はありましたか?

 自分の代わりが見つかるかどうかという不安はありました。デジタル職場の知見をもっていて、代わりを任せられる人が都合よく現れるという確証はありませんでした。

 デジタル推進局の立ち上げ当初から関わってきた業務がさまざまあるので、自分がいなくても大丈夫なんだろうかと心配になりました。制度としては1年取得が可能ですが、部署の状況をみても、2カ月程度が限度だろうかと考えました。

(後半に続く)

 >>授乳後にぐったりする妻、そのとき夫は…男性社員の育休体験記~国際男性デーに考える(下)【WEB限定】

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