沖縄県指定の天然記念物のイボイモリ複数匹を国外に持ち出そうとしたとして、県警は韓国人の20代の男2人を関税法違反容疑で逮捕したことが20日までに関係者への取材で分かった。出国目前の水際での逮捕に男らは「本島北部で採取した。持ち出しが禁止されているとは思わなかった」などと話し、イボイモリを手荷物内にしのばせ、那覇空港から国際線で韓国に持ち去ろうとしていたとみられる。県警は種の保存法違反の疑いも視野に捜査を進めている。
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関係者によると、那覇空港国際線ターミナルの手荷物検査場で10日、バッグ内に隠されたイボイモリとみられる生物6匹を税関職員らが発見した。男2人は本島北部の宿泊施設に数日間滞在し、世界自然遺産登録地の沖縄島北部などでイボイモリを捕獲したとみられる。2人のうち一人は韓国でペット関連の仕事をしているという。
沖縄地区税関は近く、男2人を関税法違反で告発する方針。県警は2人の関係資料などを押収し、背後関係などを調べている。
琉球列島の固有種であるイボイモリは「生きた化石」と称され、世界自然遺産登録地の沖縄島北部や渡嘉敷島などに分布。国内希少野生動植物種の指定に加え、国際取引を規制する「ワシントン条約付属書3」に掲載されている。絶滅の恐れがあり、捕獲や国内での取引は禁止されている。
イボイモリを巡っては2015年、ベルギーの税関で密輸されたとみられる個体が発見、保護された。21年には県内で捕獲したイボイモリをインターネットオークションに出品したとして、種の保存法違反(販売目的広告の禁止)の容疑で、県内の20代男性が書類送検された。希少性などを背景に密猟の対象になっているとみられる。
(高辻浩之)
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