MONGOL800メンバーのキヨサク(上江洌清作)さんと高里悟さんに、楽曲「夢叶う」を作った経緯や、夢や目標に対する考え方などについて話を聞いた。
―2001年発売のアルバム「MESSAGE」に「夢叶う」が収録されている。
キヨサク 18、19歳の頃に作った。何かメッセージを伝えようというよりは、その時々に思っていたことを言葉で羅列していった。社会と関わり出してから書いた視点で、生活風刺が入っている。世代問わず自分ごとのように感じるワードが入っていたりする。
―アーティストになることを夢見ていたのか。
高里 特にアーティストになりたいと思っていたわけではないので不思議。部活のバンドから始まってそのまま活動を続けた。
キヨサク 当時やもっと前は、コンテストに出て審査員のお偉いさんから「君デビューしてみないか」と声がかかるような、いわゆるドラマみたいなシナリオが当たり前だった。自分たちはそういう夢の描き方ではない。インディーズとして、沖縄から(県外に)出ないスタイルを取った。東京に出ようと思いもしなかった。なぜ今も昔も皆「東京」と言うのだろうか。
高里 東京じゃないとCDを作れないという物理的な理由もあったかも。当時は自分たちでCDを作っていた。
キヨサク 今は2拠点生活などが当たり前になってきて、地方の魅力も注目されている。生活の基盤や時間の使い方も変化してきた。 昔は「ゲームしたら、ばかになる」と言われたが、ゲームが授業や大学の科目になりeスポーツで賞金まで出る。怒られても好きなことをやめなかった子たちが、今新しいゲームを作っているかもしれない。とがめられているものが全て間違いかは分からない。恐れずに続けてみないと分からないこともたくさんある。合わなければやめればいい。「こうしたいならこうすべき」と教科書通りにやろうとし過ぎず、やりたいことをやった方が良い。
高里 周りからすると夢がかなったように思われているが、がっちり目標を立ててやってきてない。殿堂と言われる日本武道館のライブもやったが、特に目指していたわけではない。自分たちの時代は「お前は目標ないのか」とか怒られていたが、夢や目標がないのは悪いことではない。
キヨサク 好きなことを見つけるだけでも良い。夢はなくても良い。「石の上にも三年」という言葉が今では古い。自分に合うように仕事を変えるのも良い。どんどんアレンジして自分に良いものを取り入れたら良いと思う。
―活動する上で大事にしていることは。
高里 無理はしたくない。だから周りからマイペースと言われるんでしょうね(笑)。面白いか面白くないかが大事。
―若い人へのメッセージはあるか。
キヨサク 若い人たちは礼儀正しくて素晴らしいと思うが、その分、型にはまりやすいのかもしれない。若さも有限なのでたくさん間違えて経験を積んでほしい。一緒に頑張りましょう。
―2023年はどんな年にしたいか。
キヨサク 今年は「ワッタァ・ワンダフル・ワールド」を3日間にわたって開催する。25周年をお祝いしてもらいつつ、コロナ禍でなかなか行けなかった生のライブにぜひ遊びに来てほしい。世代問わず集まって、日頃の鬱憤(うっぷん)を晴らして何かを持ち帰ってもらえればと思う。僕らも楽しみ。
聞き手・中村優希
写真・大城直也
※注:高里悟さんの「高」は旧字体
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連載「夢かなう」
好きなこと自然体で 幼いころに見た夢、学生時代に追いかけた目標、大人になって見つけたなりたい自分。一人一人目指す場所は違っても、ひたむきに努力する姿は輝いている。夢をかなえた人たち、かなえようとしている人に焦点をあて、その思いを伝える。