日米の外務・防衛担当閣僚は12日(米国時間11日)、ワシントンで安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、南西諸島での防衛体制を強化する方針を確認した。米軍嘉手納弾薬庫地区(読谷村、沖縄市など)について陸上自衛隊との共同使用を拡大させることを決めた。共同発表ではキャンプ・ハンセン(金武町など)の部隊を2025年までに離島を拠点に機動的に対応する「第12海兵沿岸連隊(MLR)」に改編する。MLRへの改編に伴い配備兵器は無人で動く最新の発射機を使う地対艦ミサイルに代わる。
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在日米軍については「沖縄を含む地元の負担に対しても最大限配慮」としながらも、厳しさを増す安全保障環境に対応するために「最適化」する必要性があるとして「より多面的な能力を有し、より強靭きょうじんで、より機動的なものに強化する」と前面に打ち出した。
米軍嘉手納弾薬庫地区では改修工事をへて25年度以降、使用する予定。政府は22年末に閣議決定した新たな安全保障関連3文書でも米軍火薬庫の共同使用を掲げた。これまでも嘉手納弾薬庫地区の一部を自衛隊が火薬などの貯蔵に使っていた。
防衛省によるとハンセンの部隊は従来、高機動ロケット砲システム「ハイマース」などを使う砲兵部隊だったが、MLRへの改編に伴って配備兵器が地対艦ミサイルに代わる。MLRの規模は現行部隊と同じ約2千人。
キャンプ・コートニー(うるま市)にある第3海兵師団司令部のグアム移転も取りやめて残留させる。防衛省は「日本における海兵隊指揮機能の強化」と位置付けている。その代わりに別部隊をグアムへ移転することにし、沖縄に残る1万人という人数は代わらないと説明した。
また、民間用を含む空港や港湾を有事に柔軟に使用する必要性を確認し、日米が使用できる環境づくりに向けて演習や検討作業を進めることも決定した。
米軍普天間飛行場の問題については今回も、名護市辺野古での代替施設建設が「唯一の解決策」と従来通りの方針を盛り込んだ。
(明真南斗)
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