「これ以上の基地負担、あってはならない」沖縄県のデニー知事、日米の共同演習増加に警戒感 2プラス2共同発表受け


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玉城デニー沖縄県知事

 沖縄県の玉城デニー知事は12日、日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表を受けてコメントを出し、米軍施設の共同使用の拡大や共同演習の増加が盛り込まれたことに「これ以上の基地負担が生じることはあってはならない」と強い警戒感を示した。民間空港や港湾の使用についても「民間利用に支障があってはならない」と述べ、この2点について詳細な説明や協議の場を設けるよう政府に求めた。

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 第3海兵師団司令部や第12海兵連隊が残留することになったことには「別部隊の沖縄からの移転については、着実に検討を進め、滞ることがないように強く求める」とした。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設を進めることが盛り込まれたことに関しては軟弱地盤の存在などから「辺野古移設では普天間飛行場の1日も早い危険性の除去にはつながらない」として県との対話に応じるよう求めた。

 また、政府が昨年12月に閣議決定した安全保障関連3文書で盛り込まれた敵基地攻撃能力(反撃能力)の県内配備については「さらなる基地負担の増加につながり、県民の理解も得られないことから、断固反対する」と改めて強調。日本が敵基地攻撃能力を保有すること自体についても、従来の「専守防衛」方針との整合性や、「国際法で禁止された『先制攻撃』となるおそれ」があるなどとして疑問視した。

 有機フッ素化合物(PFAS)による地下水汚染については、米軍基地が汚染源の蓋然性(がいぜんせい)が高いとして情報提供や基地内への立ち入り調査、対策の実施を求めた。

 防衛予算の大幅な増額には「国民の負担が大きくなることも考慮すると、防衛力の在り方について国民全体が納得するような形で国政の場で十分に議論が行われる必要がある」と指摘した。
(知念征尚)

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