【東京】2013年、MV22オスプレイの米軍普天間飛行場への配備に反対する県内全41市町村の首長らが、当時の安倍晋三首相に配備撤回と米軍普天間飛行場の県内移設断念を求める「建白書」を提出してから28日で10年を迎えた。政府は建白書の訴えを顧みることなく辺野古新基地建設を強行するなど、地元の民意を無視する形で今も沖縄への基地負担の押し付けが続いている。東京都の日比谷公園大音楽堂では27日夜、記念集会が開かれ、800人(主催者発表)が参加した。
集会の参加者は、10年前に41市町村長と議会議長が参加したデモと同じく銀座の通りを練り歩き、「戦争のための基地を造るな」などと声を上げた。今国会中に衆参両院への提出を目指す「辺野古新基地建設の断念を求める請願書」への署名の呼びかけも行われた。
建白書は、安全性への懸念が根強い中でオスプレイの普天間飛行場への配備を強行した日米両政府への反発から、県内の全41市町村の首長・議長、各種団体への代表が署名・押印。保革を超えた枠組み「オール沖縄」の誕生につながった。
集会は、13年1月27日に市長会会長だった翁長雄志那覇市長(当時)ら県内首長が上京して声を上げた日比谷音楽堂で行われた。
玉城デニー知事は集会に寄せたビデオメッセージで、「県民の思いを顧みることなく埋め立て工事を進めている」と政府の姿勢を批判した。ロシアによるウクライナ侵攻などを契機に、有事への危機感が広がっていることを踏まえ、「激しい戦争を経験した沖縄だからこそ県民は平和こそ暮らしの原点と固く信じている。その思いを日本へ、激動する世界へ伝える役割を担っていかなければいけない」と力を込めた。
オール沖縄会議の福元勇司事務局長は、県民への十分な説明もなく沖縄を含む南西諸島で進む軍事強化に対し、「軍隊の勝ち負けの論理だけで住民の命と暮らしを守る視点が抜け落ちている」と指摘した。(安里洋輔)
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