沖縄県那覇市の50代の夫妻が、生後2カ月から5年以上養育していた児童の里親委託を児童相談所から解除された問題を巡り、外部有識者による調査委員会は2日、最終的な調査報告の概要を発表した。昨年6月の中間報告後、県側が提言を具体化した形跡が見えないと指摘し、子どもを中心としたケースワークの実現を改めて求めた。
調査委は昨年4月に発足し、日大の鈴木秀洋准教授を委員長とする。記者会見には鈴木委員長と、副委員長で琉大の上間陽子教授、委員で名護療育医療センター医療顧問の泉川良範医師が出席した。
昨年6月の中間報告では、子どもの気持ちを中心としたソーシャルワークや里親の声の広聴制度創設など、改善のための提言がなされた。
最終報告では、現在の制度では里親に法的権利がないと指摘。権利を保障するための法整備が必要だと新たに提言した。
調査委は当初、児童の意向を確認した上で、当事者間の交流も図っていた。ただ、中間報告後の昨年7月、県が本庁と児相職員で構成する特別支援チームを発足。特別支援チームが関係構築などのケースワークをし、調査委は検証に専念するようになったという。
児童が昨年1月に里親委託を解除されて一時保護所に入った後、別の里親宅へ移されていたことも判明。報告書は今回の事案が「0歳から5歳まで育てた里親宅から、別の里親宅に移送」したと指摘。「児童にとってなくて良かった経験をさせてしまった事案だ」とした。
(前森智香子)
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