【東京】沖縄県の国民健康保険事業について、2022年度の普通調整交付金(普調)の交付額が、事前の提示額から約27億円少なくなることを受け、県と41市町村で構成する県市長会、県町村会などは連名で8日、対策を講じるよう厚生労働省に要請した。同様の事態がこれまで5年にわたり続いており、県の池田竹州副知事は「県の国保財政に深刻な影響を与えている」と危機感を募らせた。県と自治体が国に直談判することで問題解決を図りたい構えだ。
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22年度の普調の交付額は、国が示した当初提示額の約179億円を約27億円下回る約152億円となった。
池田副知事は18年度に国保制度改革が行われて以降、同様の事態が続いていることも踏まえ「詳細な説明が国の方から示されていない」と指摘。「なぜこれほどの乖離(かいり)が生じるのか。それが分からないと対策の打ちようもない」と語気を強めた。
本田顕子厚労政務官への要請には、池田副知事のほか、県市長会の桑江朝千夫会長(沖縄市長)、県町村会の宮里哲会長(座間味村長)、県国民健康保険団体連合会の石嶺伝実理事長(読谷村長)が参加。(1)18年度以降の差額の補填(ほてん)(2)確定計数の計算式、数字が乖離する理由の開示(3)差額補填の制度化(4)財政安定化基金の国費積み増し―の4点を求める加藤勝信厚労相宛ての要請書を渡した。
桑江氏は、県内でも感染が拡大した新型コロナウイルスの国保財政への影響についても「さらに悪化する」と懸念を示し、本田政務官に実情を訴えたという。
池田副知事らによると、本田氏は県や市町村からの要請について、22年度予算の取りまとめを踏まえ「検討していきたい」と述べたという。
21年度にも同様の乖離があったことで県は「財政安定化基金」を取り崩さざるを得ず、基金残高は約16億円に目減りしているとされる。
池田副知事は「5年連続で推計値を下回るのはうちの県(沖縄)だけだ」と危機感を示し「財政運営に非常な支障を来している」と国に対策を重ねて求めた。
(安里洋輔)
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