沖縄の国保財政、82億円の財源不足 国からの交付金が5年連続で減 県の基金枯渇なら保険料に影響も


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沖縄県庁(資料写真)

 沖縄県内の国民健康保険(国保)の財政を巡り、2018年度以降の5年間で、国から県に交付される普通調整交付金が事前提示額より減額されたことなどにより、82億円の財源不足が生じていることが8日、分かった。補塡(ほてん)用の財政安定化基金は22年度末で枯渇する可能性があり、結果的に被保険者約38万人の保険料増額につながる恐れもあるという。県の池田竹州副知事らは同日、厚労省に差額分の補塡など財政支援を要請した。

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 県の国保財政の規模は年間約1500億円。収入は市町村からの納付額が約500億円、残り約1千億円が普通調整交付金を含む国や県の公費となり、そこから市町村へ保険給付費などを支出する。

 普通調整交付金は、市町村間の財政力の不均衡を調整することが目的で、国が交付額を決める。県国民健康保険課によると、数種の交付金のうち、普通調整交付金だけが毎年、国の推計値から16~34億円少なかった。差額の一部は別の交付金で穴埋めされたが、それでも年間11~27億円不足し、5年間の不足分は合計82億円に達した。

 財源不足を穴埋めするため、18年時点で、約29億円ある国保財政安定化基金から19年度に7億円、21年度に13億円を取り崩した。2年後には市町村からの納付額に積み増して回収するため、19年度分は回収済みという。基金は現時点で約16億円あるが、22年度も補塡が必要になれば、財源が不足しかねない。

 今後、県の国保財政が行き詰まれば、市町村からの納付額も増額し、市町村の予算編成によっては自治体住民の保険料に影響が出かねないという。

 毎年の予算は国の推計値を基に編成するため、県の担当者は「推計値の算出方法が分からないので対策がとれない」と語った。

 厚労省国民健康保険課は、推計値の計算方法について「一部の数値は国にしかない」と全て開示していない。沖縄県のように、5年連続で実際の交付額が少なくなった都道府県の有無についても「個別の情報なので応えられない」と回答した。

 (嘉陽拓也)

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