公立小中校の正規教員の割合、沖縄は10年連続で全国ワースト 22年は81.2%、全国平均を11ポイント下回る


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 沖縄県内の公立小中学校教員の2022年5月1日時点の正規率(定数に占める正規雇用の割合)は81.2%で、全国平均の92.2%を11ポイント下回り、全国で最も低いことが文部科学省の調査で24日、分かった。少なくとも10年間、全国最低の正規率が続いている。県は特別支援学級の増加を要因に挙げる。採用試験倍率が全国で最も高い一方、配置数が少ない教員定数の影響があるとみられ、教員不足の構造的な問題が数値に表れている。

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 半嶺満県教育長は同日の県議会代表質問で正規率の低さについて「われわれの想定を超えた特別支援学級の増加もあり、改善できていない」と述べた。仲村未央氏(立憲おきなわ)への答弁。

 20年度の県内公立小中学校の正規率は83.7%で全国最低だったが、さらに低下している。このほか、21年5月時点の通常学級担任の正規率は75.6%、特別支援学級担任は63.9%。半嶺教育長は正規率向上に向け、新たな改善計画を策定する方針を示した。

 県は16年度に小中の特別支援学級について、児童生徒数の下限を撤廃し、今後も継続する方針。児童生徒1人でも学級を設置できる一方、教員数も増やす必要がある。正規教員で足りない分、臨時的任用や非常勤講師で補い、正規率低下に拍車をかけている。

 国の定数改善計画が終了し、教職員給与の国庫負担が変わらない中、県教委は11年度以降、正規率改善に向け正規採用を増やしてきた。直近5年間で正規教員は301人増えたものの、特別支援学級の児童生徒は888人増。現場の状況に教員の確保が追いついていない状況だ。

 教員採用試験の倍率は全国的に低下が続き、文科省調査によると21年度実施の採用試験では、小中高など全体の倍率は3.7倍で過去最低だった。沖縄も低下傾向にあるが、20年度実施の採用試験では、全国で最も高い8.8倍となるなど、高倍率にある。

(吉田早希、嘉数陽、古堅一樹)

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