里親委託解除問題、元里親が沖縄県を提訴へ 児童相談所の対応巡り違法性を問う構え


この記事を書いた人 琉球新報社
沖縄県庁(資料写真)

 那覇市の50代の夫妻が、生後2カ月から5年以上養育していた児童の里親委託を2022年1月に児童相談所から解除された問題で、夫妻が国家賠償法に基づき、県に損害賠償を求めて那覇地裁に提訴する方針であることが19日、代理人弁護士への取材で分かった。

  ▼児童「会いたい。戻りたい」 里親解除の調査委報告書「児童の悲鳴であふれてる」 

 代理人の川津知大弁護士によると、提訴は4月中を予定する。国賠訴訟では、児相側が事実を歪曲的に伝えて実親と夫妻を対立させるなど、里親委託を解除するまでの対応の違法性を問う見通し。

 委託解除を巡っては、夫妻が21年12月に児童の引き渡しの差し止めなどを求めて那覇地裁に提訴した。児童が22年1月4日に一時保護された後、外部有識者による調査委員会が設置されるなどし、夫妻は訴訟を取り下げていた。児童は22年3月、一時保護所から県内の別の里親宅に移された。

 調査委は今年2月、最終的な報告書をまとめていた。琉球新報が情報公開請求で入手した報告書の部分開示版では、児相が県外で暮らす実親側の環境を考慮せず、児童を実親に戻そうとしていたことが判明。児相の経過記録に、夫妻がとっていた音声データと異なる「操作的な記述」が複数あったことも指摘している。

【関連記事】

 ▼琉球新報が情報公開で入手した調査委員会の最終報告書に関する記事

 ▼連載「里親解除 調査報告書を読み解く」(全4回)

 ▼里親委託解除後、児童は別の里親宅に  調査委は最終報告書を概要として発表 

 ▼里親委託解除、玉城知事が謝罪「不安、不信を抱かせた」 児童相談所の対応巡り

 ▼<記者、里親になる> 子育ての経験ないまま・・・子の受け入れ突然に