【東京】陸上自衛隊が2020年にオスプレイを導入したことに伴い、専門の整備部隊を新編するため、他の航空機部隊の整備士や操縦士の欠員が深刻化すると予測していたことが19日、分かった。独自入手した資料によると、陸自は整備士や操縦士の「中抜け状態」を懸念していた。航空機の安全に関わる整備や操縦の面で懸念があったにもかかわらず、国民に説明せずにオスプレイ導入を進めたことになる。
陸自がオスプレイ部隊の新編による他部隊へのしわ寄せについて話し合っていたのは20年7月3日の「航空安全会議」。資料は陸上幕僚監部がまとめており「注意」と記されている。陸自は同7月10日から千葉県の木更津駐屯地へのオスプレイ暫定配備を始めた。
資料には、25年度ごろまでに全国の既存部隊から航空機整備に関する資格を持つ約300人をオスプレイ部隊に移す計画が記されている。「ベテラン主体の突貫的な整備」となり、若年隊員の育成が難しくなることも課題として挙げられている。
オスプレイの操縦士約70人を確保するには全国の既存部隊から捻出するため、各部隊で平均2.5人減るとの見通しが記されている。中堅に当たる「B操縦士」「C操縦士」が約20%欠けることとなり「任務遂行能力の低下」を懸念している。特に格付けC以上の操縦士に認められる夜間飛行に関する能力が低下することが想定されている。
19日の衆院外務委員会で穀田恵二氏が資料を基に追及した。井野俊郎防衛副大臣は「自衛隊として既存の定数の中で適切に配置していく。常に練度を維持し、いついかなる時も対応できる態勢を整えている」と述べるにとどめた。
穀田氏は「自衛隊員はもとより、国民の命と安全に直結する重大問題だ」と指摘した。
(明真南斗、斎藤学)
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