陸上自衛隊のヘリコプターが宮古島市の沖合で行方不明となった事故で20日、発生から2週間となった。捜索に当たる男性隊員は「一日も早く家族の元に帰したい。みんなその一心で捜索を続けている」と話す。延べ数百人の隊員らが1週間ほどで入れ替わり、島の捜索活動を展開している。行方不明者10人中、残る4人の捜索に全力を尽くす。
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陸自ヘリの機影がレーダーから消えた海域付近は、宮古島と池間島、伊良部島の間に位置する。島々の海岸線はサンゴ礁が複雑に入り交じる。迷彩服姿の自衛官らは海岸線を移動しながら、時には道なき道を1日に約10~20キロにわたり、徒歩で漂流物や搭乗者らの手掛かりを探す。
「潮の満ち引きで捜索状況が変化する。1日に何十キロも歩き続け、川をさかのぼり、マングローブ林の奥まで捜索は及ぶ」と話す。
男性隊員によると、沿岸部の捜索は徒歩のほか無人小型機(ドローン)などで1日に島々の周囲を1周するように捜索する。島の高台には双眼鏡などで海面の動きや漂流物を観察する。浅瀬ではダイバーが潜水を繰り返し、海中で手掛かりを探す。基地内の宿泊する施設では、隊員らであふれかえる所もあるという。
島の主要道路では連日、レンタカーと自衛隊車両がすれ違う。観光業の男性は「自衛隊車両をこんなに多く目にするのは初めて。観光客の傍らで迷彩服の隊員らが捜索する光景に違和感がある」と漏らす。島民らは戸惑いながらも、祈る気持ちで捜索を見守る。
男性隊員は「車両の駐車場所や施設の提供など、島民や関係機関の協力があって捜索活動が維持できる」と感謝を述べ、行方不明者の早期発見に向け、最善を誓う。
(高辻浩之)
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