黎明の塔で陸自の「参拝」は確認されず 塔周辺には県外の男性が設置した日の丸も


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日の丸と旭日旗が周辺に設置された「黎明之塔」。制服を着用した陸上自衛隊員の「参拝」は午前6時半現在確認されていない=23日午前6時すぎ、糸満市摩文仁

 糸満市摩文仁の平和祈念公園内にあり、沖縄戦当時の日本軍第32軍の牛島満司令官らを弔う「黎明(れいめい)之塔」では、陸上自衛隊第15旅団の旅団長らが毎年6月23日の慰霊の日に制服で「参拝」していることが問題視されてきたが、今年は23日午前6時半現在、旅団長らの「参拝」は確認されていない。中止となれば2年連続となる。

 一方、塔周辺には日の丸や旭日旗が設置されていた。旗は埼玉県所沢市から訪れた谷口恵さん(62)が掲げたといい、塔の前に靖国神社の御札や飲み物なども供えていた。

 慰霊の日に合わせた15旅団長らによる黎明之塔への「参拝」は、2004年から実施されている。牛島司令官らは住民を巻き込む戦略持久戦を指揮して沖縄戦を泥沼化させた。その慰霊塔の「参拝」は、自衛隊が日本軍をたたえ「殉国美化につながる」などと批判され、市民団体が中止を要請してきた。これに対し陸自側は「参拝」は「私的」なものとの見解を示していた。
 
だが、防衛省陸上幕僚監部が部内で旅団長の「参拝」に関する報告文書を作成していたことが昨年に発覚すると、その直後の慰霊の日に旅団長らの「参拝」は確認されなかった。

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