沖縄県のコロナ患者数、1週間に9000人超が感染か 昨年以上の流行規模 医療体制の維持が危機的状況に


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新型コロナの感染拡大による医療体制の窮状を説明する院長ら=28日、南風原町の県医師会館

 19~25日に県内の定点医療機関54カ所から報告があった新型コロナウイルスの患者数が、1定点医療機関あたり約39人で、前週比1.3倍になることが28日、県などへの取材で分かった。総数(推計値)は9千人を超えるとみられる。感染者の実態を捉えきれない定点報告でも、全数把握だった昨年6月19~25日の新規感染者数の合計8651人を超えていることから、現在の流行規模は昨年以上とみられる。29日に県が正式に発表する。

 急速な感染拡大を受けて県は28日、コロナ対応にあたる医療機関の院長や県職員、厚労省職員による病院長会議を南風原町の県医師会館で実施した。会議では、各病院が逼迫したことで、地域の開業医が患者の入院先を探せない危機的状況が報告された。そのため県は、地域の医療機関を、集中治療室で重症者の治療ができる急性期病院A、一般的な疾患に対応できる同病院B、軽症者のリハビリに対応できる回復期病院に分類することを提案。一部の医療機関に患者を集中させず、地域の医療機関全体で対応する方針を確認した。

 その他にも急性期病院から回復期病院や施設へ効率良く患者を退院させる方策や、在宅医療につなげる意見も交わされた。

 会議では、各病院の窮状も報告された。県立中部病院の玉城和光院長は、コロナを含む小児の重症患者が増えているものの、医師不足で医療体制が維持できない恐れがあるとして、近日中に小児の夜間救急を止める方針を明らかにした。

 会議後、糸数公保健医療部長は「コロナの入院患者は28日時点で911人となった。県民にも、より危機感を感じてもらえるメッセージを届けていきたい」と語った。
 (嘉陽拓也)

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