名護市辺野古の新基地建設工事を巡って新たな出資トラブルが発覚した。発端となったのは、辺野古埋め立て工事で使用する海砂採取事業への、出資の呼びかけだった。一連のトラブルに関わったとみられる会社経営者は「重機のリース業」への出資話で、出資者と9億円の返還を巡りトラブルになった直後、別の60代男性2人の出資者に似たような事業モデルを示して資金を得ていた。
「この船を購入する予定です」。2022年5月、関東在住の60代男性2人は、知人を介して知り合った会社経営者から、ある船舶の写真を示された。
関係者によると、砂利、石材などの工事用資材を運搬する「ガット船」と呼ばれる作業船で、会社経営者は地元団体が同船で「辺野古埋め立て工事で使用する海砂採取事業を展開する」などと説明した。会社経営者は最終的な利益が数億円に上ると強調したという。一方で、船舶会社保証金などの「必要経費」として、1億円超が必要になるとも説明し、事業への出資を呼びかけた。交渉を進める中で、会社経営者が「早く決めないと、船が他の業者に買い取られる可能性がある」と決断を急ぐよう促す場面もあった。
「はじめは半信半疑だった」という2人。しかし2人のうち一人が、別の大手企業の社長に事業の話を打ち明けたところ「辺野古の事業に参入する足がかりになる」などと興味を示したことから、出資を決めた。
22年6月には会社経営者側と契約を交わしたが、契約書の内容は、9億円の出資トラブルで被害を訴える男性が交わした時と同じく、辺野古の地元団体「一般社団法人辺野古CSS」の前事務局長が運営する、CSSとは別の地元団体に「協力金」として、会社経営者側に資金を預け運用するという内容だった。
2人は契約後の同7月、会社経営者の仲介で、前事務局長とも都内のすし店で面会している。すでにCSSの役職を退職していた前事務局長が差し出した名刺には、自身が代表を務める団体の代表理事の肩書のみ記されていた。会社経営者が事業について熱心に語る一方、前事務局長が言及する場面はみられなかったという。
2人は「会社経営者が事業計画を主導している印象だった。ただ、地元団体の代表を務める人物の存在が出資の決め手になったのもまた事実だ」と証言した。
(「幻影の辺野古マネー」取材班)
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