米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題で、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請の承認を巡り、斉藤鉄夫国土交通相が玉城デニー県知事に代わって承認するために提起した代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)は29日、判決期日を12月20日午後2時に指定した。代執行の要件の一つである公益性の司法判断に注目が集まる。
10月30日の第1回口頭弁論で結審し、三浦裁判長は判決期日を「追って指定する」としていた。
国は、県が承認しないことで国の安全保障や普天間飛行場の危険性除去が実現できないなどとして「著しく公益が侵害される」と主張している。県に対し、判決文の送達を受けた翌日から3日以内(休日を除く)に承認するよう求めている。
県は、沖縄戦を経て過重な米軍基地負担を負う県民が新基地建設反対の民意を示してきたとして「県民が示す民意こそが公益とされなければならない」と主張している。
裁判所が国の請求に理由があると認めると、県に承認命令を出す。県がそれでも承認しない場合、国が承認を代執行し、大浦湾側の工事が着手されることになる。県は高裁で敗訴した場合も上告できるが、最高裁で逆転勝訴しない限り工事は止められない。
2000年の地方分権改革で中央集権型の機関委任事務制度が廃止されてから、国が代執行訴訟を提起するのは翁長雄志前知事時代の15年以来2度目。当時は裁判長から和解提案があり、工事を中止して協議することを条件とした和解が成立したため今回実際に代執行されれば初めてとなる。