沖縄県にある米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題で、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請の承認を巡り、斉藤鉄夫国土交通相が玉城デニー知事に代わって承認するために提起した代執行訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)は20日、国の請求通り県に承認するよう命じた。三浦裁判長は主文言い渡し後、判決の骨子も読み上げた。
県が申請承認の対応を放置することによる公益性は、普天間飛行場の危険性が人の生命や身体に関わるなどとして、「社会公共の利益を侵害するものに当たる」と判断。国交相が県に承認するよう求めた是正の指示を巡る訴訟の最高裁判決(9月4日)で県敗訴が確定後も、県は承認を放置しているとして、「社会公共の利益を害するものと言わざるを得ない」と指摘した。
一方、歴史的経緯などを踏まえ、新基地建設に対する県民の心情は「十分に理解できる」とも言及した。しかし法律論として代執行要件の公益で、県主張の公益を「当然に考慮し得るものとは言いがたい」と示した。
最高裁判決は、県の不承認を公有水面埋立法の各規定に違反すると判示したと強調。判決確定後も県が承認していないとして、「(代執行の要件を定めた)地方自治法にいう『法令の規定に違反するものがある場合』に該当する」と述べた。県については「承認しないという意思は明確かつ強固だ」として、代執行以外の方法で是正を図ることは困難と認定した。
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